「海水浴シーズンは避けるべき」福島第一原発の処理水の海洋への放出開始をめぐる、公明党・山口代表の発言が波紋を広げています。与野党から“かえって風評被害を招く”などと批判の声が上がっていることを受け、4日、釈明しました。開始時期については、官邸内からは9月が現実的との声も出ています。
原発処理水放出は“9月”? IAEA「国際基準に準拠」
福島県いわき市の海岸。この海が夏に予定される福島第一原発の処理水放出計画で揺れています。

7月4日午後4時すぎにIAEAのグロッシ事務局長が総理官邸を訪れました。IAEAは数回にわたり日本で処理水の放出計画の検証を行ってきました。その報告書を岸田総理に手渡したのです。計画の検証結果は・・・

IAEA グロッシ事務局長
「提案の上、改定された計画は合意された国際基準に準拠しています」

岸田総理
「IAEAの方からは、ALPS処理水の海洋放出が国際安全基準に整合的であるということ。人および環境への放射線影響は無視できるほどであるということ」

福島第一原発の敷地に並ぶ処理水をためるタンク。現在1070基が使用されています。処理水の総量はおよそ133万トン。既に97%に達しています。

政府と東電は処理水を海水で100倍以上に薄めた上で、海底トンネルを通じて1キロ先の沖で放出する計画です。実施時期は夏ごろとしています。
ただ、放出時期をめぐって、思わぬところから横やりが・・・公明党の山口代表です。

公明党・山口那津男代表(7月2日)
「直近に迫った海水浴シーズンは避けた方が良い」
この発言に与野党からは『風評被害を招く』などと反発の声があり、4日に山口代表は釈明をしました。

公明党・山口代表
「客観的にこの安全性を周知していくということが大事であり、(安全性の周知には)少し時間が不足しているのではないかという趣旨で申し上げました」
ただ政府内からは、東北の自治体で8月に選挙が相次ぐことを理由に、こんな声も聞こえてきます。
官邸幹部
「9月に放出開始が現実路線じゃないか」
「9月も夏ということにはなる」

【処理水を今年夏ごろ海洋放出する方針に(JNN世論調査 7月1~2日調査)】
賛成:45%
反対:40%
最新の世論調査でも賛否はわかれたままです。