ロシア軍“原発でテロ行為”の可能性 ダムも撤退時に破壊

山本恵里伽キャスター:
緊張感が高まっているザポリージャ原発ですが、原子炉6基を備えているヨーロッパ最大級の原発です。位置を見てみると、ウクライナの南部にあり、黒海にもほど近い場所にあります。この原発が2022年3月からロシアに占拠されているわけです。

このザポリージャ原発を巡って6月30日にウクライナ国防省情報総局の話として、「ロシア軍の部隊がこの原発から徐々に離れつつある」と指摘がありました。その翌日には、ゼレンスキー大統領が「ロシア軍がこのザポリージャ原発でテロ行為を行う可能性」を指摘しているんです。

小川彩佳キャスター:
原発からロシア軍が離れつつある、関係者が退避している、という情報もありますが、その一方でテロの可能性が指摘された。これはどういうことなんでしょう。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏:
欧米諸国からすると非常に心配ですよね。なぜかというと、ロシアはダムの破壊のときに撤退するとき施設を破壊して引いてく、という事をやっているんですね。今回も「原発を破壊しながら撤退していくんじゃないか」という心配が出ているわけで、IAEAとか国際機関が管理体制を整える必要があると思いますね。

年末までに“停戦交渉”開始か

山本キャスター:
こうした中、一つ新しい動きが出てきているんです。ワシントンポスト紙は6月、アメリカCIA・バーンズ長官がキーウを秘密裏に訪問した際に、ウクライナ側から「ロシアから広範囲な領土を奪還し、年末までに停戦交渉を開始する計画がある」と説明を受けると報じているんです。

小川キャスター:
8月で侵攻から1年半、長期戦をうかがうという中で、ようやく停戦への道筋というのが見えてくるのかどうかですね。

星 氏:
今、欧米や日本の情報当局で共有されているのは、「プーチン氏はどうも、“勝つ戦争”から“負けない戦争”に転じてきたんじゃないか」ということなんですね。

ウクライナが反転攻勢を強める中で、どうも長期戦の構え、膠着状態に持っていこうとしているんじゃないか、ということなんです。

バーンズ長官の発言は、プーチン氏の反応を見るという意味でかなり意図的に情報を流していることがありまして、停戦交渉に向けて駆け引きが本格化してきた、というふうに見ていいと思いますね。