ロシア軍の「原発への破壊工作は十分に考えられる」

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ロシアは原発で局所的な爆発を引き起こす技術的な準備ができている」

7月1日、ゼレンスキー大統領はロシアがザポリージャ原発でテロ行為を行う可能性があると主張。ウクライナ国防省は、ロシア側の関係者が原発から退避を始めたとしています。

ロシア側が原発を攻撃する可能性はあるのでしょうか。

防衛省防衛研究所 高橋杉雄氏
「ウクライナ側の反転攻勢が少しずつ進んできてますから、ロシア側がザポリージャ原発から撤収をしなければならない状況というのは考えられるので、ウクライナを妨害するために原発に何らかの破壊工作を行うということは、十分に考えられると」

現在、運転停止中のザポリージャ原発。想定される影響は…

高橋氏
「チョルノービリ原発型の運転中の原発が爆発するという形ではなく、福島第一原発型の中にある放射性物質が漏れ出してくる形である可能性が高いというように見られています。

ダムが壊れた結果、今はその湖が川になってしまっているので、ウクライナ側がその川を渡って、ザポリージャ原発を奪回してくるかもしれない。湖が川になってしまったエリアをウクライナが突破できないようにする、というぐらいの形で“放射能漏れ”をコントロールする、その範囲での“放射能漏れ”ということは、シナリオとして考えられる」

一方、ロシア側は…

ラブロフ外相
「ウクライナ側が我々が原発を爆発しようとしているなどと主張しているが、全くの嘘だ

ダム決壊で断水も 原発付近の町の住民たちは

原発から約10キロの町・ニコポリでは、原発事故に備えた緊急訓練が行われていました。

ニコポリ市の担当者
「爆発があった場合に備え、最大限避難するための準備をしないといけない」

記者
「ニコポリは、ロシア軍から非常に激しい攻撃を連日受けていますので、このように学校ですが、窓はほとんど全て割れています」

ニコポリはロシア軍の砲撃によって、これまでに4000以上の建物が損壊。さらには、ダム決壊の影響で、水道水の供給が完全に止まっており、この町に暮らす人は不安な日々を過ごしています。

ニコポリの住民
「原子力発電所を爆破すると脅したけれど、危険でも私達はどこにも行きません。ここに残ります」