「(妻の)河井案里の当選を得たいという気持ちでいたことは否定できない」買収の意図を認める

検察や藤田被告の弁護側からの質問は、2時間あまり続きました。
(以下、質問の一部を抜粋)

検察側の質問
― 令和2年の7月、公職選挙法違反の罪で起訴されましたね。
「はい」

ー 起訴された事実は、この参院選において克行氏が単独で、または案里さんと共謀して案里さんに当選を得しめる目的で広島県議会議員や地方議員など計100人に対して選挙運動を依頼し、その報酬として現金を供与したものでしたね。
「はい」

ー この件で証人は東京地方裁判所で有罪判決を受け、その後、有罪判決が確定し、現在は受刑中ですね。
「はい」

ー 証人は自身の公判で、起訴された相手に対する現金の供与について、現金を渡したこと自体についてはどのように認否されましたか。
「認めました」

ー 案里さんに当選を得しめる目的をもって現金を供与したという点についてはどのような認否をされましたか。
「あの参議院選挙で広島県選挙区で自由民主党が2議席を獲得するという党の大方針を実現するために現職の溝手先生に加え、新人の河井案里の当選を得たいという気持ちでいたことは否定できない。全くなかったわけではないということであります」

ー 案里さんの当選を得たい気持ちがあったことは認めた?
「はい。その通りです」

ー 起訴事実で現金を供与したとされる相手方全員に対して、選挙買収の趣旨を認めたんですか。
「いいえ。そうではありません」

ー その中に、現職や元職の県議や市議などいわゆる政治家はいましたか。
「安佐北区選出の渡辺典子県議」

ー 選挙買収の意図がなかったと主張した相手として藤田被告の名前はあげましたか。
「あげていません」

ー 藤田被告については、選挙買収の意図はあったという認否になる?
「はい」

ー 今回の起訴内容の現金について、藤田被告に1回目の現金を渡したのはいつですか。
「藤田さんの統一地方選の最中か、直前だと思います」

ー 金額はいくらですか。
「覚えていません」

ー だいたいで覚えていませんか。
「うーん、20万か30万くらいかと思います」

ー この公判では起訴内容にある受け取った金額50万円に争いはないとされていますが。
「あ、そうか。そうですね。50万だったかもしれません」

ー 50万と聞いて違和感はありませんか。
「藤田さんは実力者だし、大物と認識していました。私の自民党県連会長の選任も含め、藤田さんには協力いただけると考えていた。その辺、他の議員さんとは違う。私の秘書だった前田智代栄さんの選挙も積極的にやってほしいという思いもあり、増額したかもしれません」

ー 藤田被告の事務所を訪問して面会したとき、藤田被告と話はしましたか。
「しました。事務所の中だったか、隣の自宅かどちらかです」

ー 藤田被告と話したことは。
「陣中見舞いですと言って白い無地の封筒を渡しました。トップ当選でしょうけど、選挙ですからがんばってくださいと」

ー 封筒の中身は現金ですか。
「そうです」

ー それ以外に話したことはありますか。
「よく覚えていません」

― 参議院選挙の話はありましたか。
「私は出てないんじゃないかと思いますね」

― 封筒を渡したタイミングはいつでしたか。
「これも記憶ははっきりとしませんが、私の行動様式を振り返ると、事務所の入り口を入ってすぐに『ご出陣おめでとうございます』と入り、わりと早い段階で陣中見舞いをお渡ししていた。それが私の一般的な行動です」