キャンプに欠かせないアイテムの1つ「ランタン」。ランタンの傘の部分と土台には津軽塗が施されていまして、器や箸といった室内で使われるものが多い津軽塗をキャンプ用品に取り入れようと2人の男性が奮闘しています。


※松山漆工房 松山昇司さん
「食器類とかベースで入り口などで、こういう食器類とは違う入り口があるとよい」
※和ぎあ鳴海屋 鳴海 健さん
「新しい所に興味を持ってもらって、そこから津軽塗ってやっぱりいいよねって…」

弘前市出身で仙台市に住む会社員の鳴海 健さんと弘前市にある松山漆工房の3代目・松山昇司さんです。2人が真剣な表情で話し合っているのは、津軽塗を施したランタンの商品化についてです。鳴海さんは現在インターネットで資金を集める「クラウドファンディング」を活用して、約170万円を目標金額に今回の挑戦を支援してくれる人を募っています。


※和ぎあ鳴海屋 鳴海 健さん
「津軽塗の茶たくが自宅にあって、これをひっくり返したらランタンのシェードになるんじゃないかなってインスピレーションを受けた」
※松山漆工房 松山昇司さん
「できればちゃんとしたホテルに泊まりたい派でだからこそキャンプグッズが温もりがあると逆に(キャンプを)したくなるかなと」

鳴海さんはキャンプが好きすぎるあまり、去年10月に大学時代の友人と2人でオリジナルのキャンプ用品を製作するチーム「和ぎあ鳴海屋」を発足させました。その第1弾として選んだのが地元・弘前市を含む津軽地方の伝統工芸品”津軽塗”のアイテムでした。


※和ぎあ鳴海屋 鳴海 健さん
「家に(津軽塗の)食器やテーブルとかあったんですけど、なんとなく家にある身近なものという印象しかなくて。今、地元の弘前を離れて生活していく中で郷土というか地元に対して思いみたいなものが出てきた」

鳴海さんの思いを形にするのが津軽塗の職人・松山さんです。300年以上続く伝統工芸品の「津軽塗」には約50の工程があり、1つの作品に3か月から半年を費やすことから「津軽の馬鹿塗り」とも呼ばれる丁寧な仕事です。その技法は2017年に青森県で初めて国の重要無形文化財に指定されましたが、職人の高齢化と若手の不足が課題となっています。


※松山漆工房 松山昇司さん
「キャンプもそうだし、クラウドファンディングの方も新しい仕組みなので、そういうものを通して見てくれる人が増えてきて、それで津軽塗を認識してくれる人が増えればいい」

松山さんは津軽塗の新たな可能性を発信できる機会になればと考えています。ランタン用のシェードは3種類を製作する予定ですが、試作品が出来上がっているのはまだ2種類。漆塗りの一種「刷り漆」の技法を施してケヤキの木目を美しく見せるタイプと「刷り漆」に津軽塗の代表的な「唐塗」の模様を施したヒバ材を組み合わせたタイプです。このほか全面が津軽塗のタイプも作ります。すべてに「唐塗」の土台をセットで付けてキャンプ好きに人気のランタンをドレスアップします。


※和ぎあ鳴海屋 鳴海 健さん
「キャンパーの人は、他の人と違うものを使いたいという性がある。津軽弁で言う『えふりこき』の心理があると思うので、青森県のキャンパーだけじゃなくて全国のキャンパーの『えふりこき』な心理で刺激できたらいいと思う」

キャンプ好きと職人という異色の2人が津軽塗の新たな可能性を見い出そうと奮闘しています。