5月25日、東京都が首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。マグニチュード7クラスの地震が関東南部で発生する確率は、今後30年間で約70%。さらに、今回新たに加えられた“災害シナリオ”とはどのようなものなのか?いつ起きてもおかしくない大規模地震。被害想定の策定に関わった研究者に直接、話を聞きます。

■M7クラスの地震発生確率は約70% 被害想定は10年前の3割減も…

東京都が想定しているのは「都心南部直下地震」というもの。想定される震源は23区南部。地震の規模はマグニチュード7.3で、最大震度は7。23区の6割で震度6強以上になると考えられています。この地震の発生確率は30年以内に70%とされています。



▼想定される被害の規模
 <建物被害> 19万4431棟
 <人的被害> 死者:6148人 負傷者:9万3435人
 <帰宅困難者> 約453万人

10年前(2012年)の想定と比べると死者、建物被害が約3割減るという予測となりました。
理由としてあげられるのは、住宅の耐震化と木造住宅密集地域の減少。住宅の耐震化は10年前の段階で全体の81.2%でしたが、10ポイント以上上がり92.0%に。また、火災が心配される木造住宅の密集地域も、前回調査の半分まで減らすことができました。つまり、「災害は減らすことができる」ということが今回分かったとも言えます。

「首都直下地震」被害想定の策定メンバー 関東学院大学理工学部教授 規矩大義氏:
一つ気をつけなければいけないのは、このマグニチュード7クラスの地震というのが「東京都のどこで起こるかはっきり分かっていることではない」ということです。
今回の発表は一番被害の大きそうなところを、あえて公表しているだけですので、外れたから自分のところは安心だということでは決してない。

ーー被害想定が3割減少したことについてはどのように受け止めればいいですか。
規矩氏:
10年前に比べると都市の様相が変わって、建物も強くなり地震に対する性能自体が上がっている。ただ、様々な要素が出てきており、地震の新しいデータも得られているので、被害想定は減りましたけど安心・安全になったということとは違うとご理解いただいた方がいいと思います。これから更なる努力をすればまだまだ下げることもできるということでもあります。

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
これは一つの目安です。従来は数字だけが独り歩きして、「脅かし作戦」みたいに「ショックを与えて防災対策を進める」ところがあったんですが、今回はフランクに、全体のことがバランスよく出されている感じがしますので、一つ一つを追求していけば被害はもっと減らしていけるのではないかなと。
特に耐震化や不燃化については、東京都は2025年を一つの目標として進めていますので、あと3年後にはもう少し進んでいくと思っています。

■「災害シナリオ」で想像力を高めることが最も備えに

今回の想定で新しいポイントが盛り込まれました。それが「災害シナリオ」というものです。地震発生直後、1週間後、1か月後と、時系列で復旧はどのぐらい進んでいくのか、避難所での生活がどのように変化していくのか、シナリオの形で示しました。

東京都防災会議地震部会 平田直部会長(5月25日の東京都防災会議):
(被害想定の)数字に表すことのできない色々な事象を時系列的に取りまとめることによって、自分の状況に合わせた形で、どう対応したらいいかをあらかじめ知っていただけるようなそういうシナリオを作ることができました。

規矩氏:
従来の被害想定だと、数が独り歩きして数字の羅列になってしまうのですが、今回はどういうことが起こるかきちんと文字に表して、都民に現実を見ていただこうということが目的です。何が起こるかがわかる、想像力を高めることが一番防災力を高めると思います。