森本がともに24年ぶりの14m台と日本新
24年間止まっていた女子三段跳の時計の針を、森本麻里子がついに進めた。5回目の試技で14m16(+0.7)をマーク。花岡麻帆が99年に樹立した14m04の日本記録を12cm更新した。歴史的な一跳は、どんな跳躍だったのだろうか。
「(ファウルだったが)1本目から手応えはあったので、落ち着いてやっていければ超えられるかな、と思ってやっていました。(5本目の14m16は)助走の加速部分が良かったのと、それがうまく技術につながったと思います。助走の最初の6歩は、お尻周りもしっかり使えるようになりましたし、加速部分も脚をどどどって落としていくことができました」
お尻周りの大きな筋肉を上手く使えば、大きな力が必要なスタート時で、力むことなくスピードを上げていける。脚を落とすというのは、脚全体の振り下ろし動作を指す。どちらも森本が、筋力的に秀でているからできる部分だろう。
日本の女子三段跳は花岡が14m時代を切り拓いたが、その後13m50以上を跳んだのは3人だけで、13m70を超える選手は現れなかった。筋力的なところで世界トップ選手たちと差が大きかった。
森本も初めて13mを超えたのは実業団2年目(18年)で、14mが期待されていたわけではなかった。しかしボブスレーにも取り組んでいた森本は、ドイツ人コーチから出されたメニューを徹底して行い、他の日本選手より秀でていた筋力をさらに強化した。
「花岡さんが日本記録を出した時も、5本目だったと思うので、これも何かの縁だと思います。歴代の先輩たちが築いてきたものがあって、やっと日本記録が更新できた。女子三段跳、みんなで頑張っていきたいと思います」
女子三段跳は1993年から世界陸上に採用された歴史の浅い種目で、森本が選ばれれば07年世界陸上大阪大会の吉田文代に続いて代表2人目となる。
「今年は世界陸上ブダペストでしっかり戦うことを目標としています。その前のアジア選手権(7月12日・タイ)でしっかり優勝して、世界陸上につなげたいです」
昨年の世界陸上オレゴンでは、予選の14m27までが決勝に進出した。森本は2月のアジア室内選手権に優勝するなど、国際大会でも力を発揮している。24年ぶりに歴史を動かした勢いで、女子三段跳日本人初の決勝進出も期待したい。