ダム下流の住民の理解は?

福島県内でも、4年前の東日本台風(台風19号)で南相馬市の高の倉ダムで緊急放流が行われ、下流では住宅の浸水被害が出ました。

摺上川ダムでも緊急放流は、想定されています。

国土交通省東北地方整備局摺上川ダム管理所・三浦猛所長「洪水が越流して水がそのまま下流に流れる。その状態が摺上川ダムの洪水調節における緊急放流」

自然調節方式と呼ばれる摺上川ダムでは、雨によってダムに貯まる水が一程の量を超えれば、溢れた水が川に流れ出る仕組みになっています。

さらに、この方法では、放流する水の量を人為的に調節することはできません。そのため、多くの水が川に流され、氾濫を招く危険性が。

ダムの管理所では、緊急放流を実施する際は、3時間以上前に下流の自治体に通知しますが、自治体から対象住民に避難勧告が出されるまではタイムラグが生じます。

摺上川ダムの緊急放流では、福島市北部や伊達市南部にかけて最大5メートルの浸水被害が想定されていています。

管理所ではハザードマップを公開し、注意を呼びかけていますが、ダム下流の住民たちはハザードマップの存在を把握しているのでしょうか?

植野天斗記者「福島市飯坂町です。街の中心部を流れる摺上川のそばには住宅街も広がっています」

Q.このハザードマップは見たことありますか?
住民「ないですね」
住民「わからなかった」
住民「放流した時に(浸水の)危険性があるということ?知らなかった」

川の近くに住む人のうち25人に話を聞いたところ、ハザードマップを知っていたのはわずか5人。ダムが決壊しない限り、摺上川が氾濫することがないと考えている人も少なくありませんでした。