食べられるバラを求めて阿蘇へ!

熊本県阿蘇市のビニールハウスでバラを栽培する小笠原徹朗(おがさわら てつろう)さん76才。

冷涼な気候を生かし、食卓を彩る無農薬の『食べられるバラ』を育てています。

RKKのラジオカー「ミミー号」の古戝沙季(こざい さき)キャスターが、小笠原さんの農園「阿蘇ローズベリー香園(こうえん)」を訪ねました。

古戝キャスター「小笠原さんの作る『食べられるバラ』は、プリンやアイス、チーズケーキに混ぜ込んだり、トッピングにしたりして販売されているんですが、小笠原さん、どうしてバラが食べられるんですか?」

小笠原さん「私どもはJAS認証の無農薬有機栽培の『ほ場』(田や畑など農地のこと)で作っているので、食べられるんです。それと、種類的に苦みとか渋みが少なく、甘みの強いものを作っております。だから食べられるんです」

食用や入浴など様々な使い方があるバラがパッケージされて売られています

今から16年ほど前、たまたまテレビ番組で紹介されていた『食べられるバラ』に興味を持った小笠原さん。即、行動に移し、自分の眼で、鼻で、舌で確かめようと全国各地のバラ園を訪ねました。

怒られもしましたけど…

小笠原さん「北は北海道の岩見沢のバラ園から、南は鹿児島県鹿屋(かのや)のバラ園まで、全部で300種類くらい食べました。途中で怒られもしましたけど…『それは農薬かかってるから食べちゃ駄目ですよっ!!』ってね(笑)」

300種類を食べ歩いた中から、阿蘇の地に適した30種を厳選し、2007年秋にビニールハウス8棟でバラの栽培をスタート。

防虫や水の管理など、試行錯誤しながら、今では無農薬のバラを年間400キログラム生産できるようになりました。

ただ、活火山のふもとにある小笠原さんの農場では頭を悩ませる事態も…

小笠原さん「阿蘇の気候は冷涼ですからバラにはちょうど良い環境なのですが、阿蘇山がありまして、噴火すると、噴煙がこっちへ来てガスが来る。今年もそうなんですが、何十本か、『ガスでやられた』というようなこともあります。気候と地質が非常に重要なポイントになるんではないかなと思っています」

食べられるバラは〝映える食材〟として、レストランやカフェも注目しています。

小笠原さんによると、バラにはビタミンやポリフェノールなどが豊富に含まれているため、見た目の華やかさはもちろん、体の内側からも健康になれる食材だということです。

小笠原さんが丹精込めて育てたバラで作られたバラのジャム
バラのジャム、美味しい~~~

10年以上かけ、軌道に乗ってきた食べるバラの栽培。
今後は更に、引き合いも多くなるとみて、生産量を増やす考えです。
そこには「経営者」としての判断も伺えます。

チンパンジーのパンくんがいる元園長

実は小笠原さん、全国でもおなじみだった人気者『チンパンジーのパンくん』が暮らす「阿蘇カドリードミニオン」の元園長だったのです!!

古戝キャスター:小笠原さんは阿蘇カドリードミニオンで元園長をされていたんですよね。そこからなぜ食べられるバラを作ろうと思われたんですか。

小笠原さん:まぁ、何もすることなかったというのと(笑)、バラは、クレオパトラの時代からよく知られたもので、健康にもいいし、食べることもできるし、化粧品にもできるし、お風呂にも入れられるという万能型の花なものですから。老後の仕事としては面白いかなと思って始めました。

2007年秋にビニールハウス8棟でバラの栽培をスタート

食べられるバラとの出会いが、小笠原さんの第2の人生を彩り豊かにしたのです。

小笠原さんの夢は、阿蘇の地に「ローズバレー/薔薇の丘」を創ること。

食べられるバラの一大生産地にして、後進を育成し、阿蘇を元気にしたいと考えています。

小笠原さん:バラの育て方の奥深さというのを知って、この先は大変だぞと、今思っております。

小笠原さんがバラと向き合う日々はこれからも続きます。

RKK NEWS DIG 編集部 久島 健一