カイコを育て、生糸のもとになる繭を生産する「養蚕」。岩手県北上市でこの養蚕の技術や文化を復活させ、オリジナル商品を作り出している女性がいます。こだわっているのは「黄色い繭」とカイコへの「敬意」です。

 たらいの中のなにやらふわふわした物体…何だかわかりますか?これは重曹で煮たカイコの繭です。


「袋状になっているので大体。お蚕さんが(繭を)袋状に作っているので。こういう風にひっかけて。これで角真綿という角ばった真綿が出来るんです」


 こう話すのは、東京都出身の松岡冴さん(30)です。5年前にかつて養蚕が盛んだった岩手県北上市の地域おこし協力隊として移住しました。
 繭から作られる生糸は明治以降日本の輸出品の主力で、かつては全国に200万戸以上の養蚕農家があったといわれています。
 それが中国産やイタリア産の安い輸入品に押され現在はわずか200戸あまりまで減少しました。


 松岡さんは、北上市更木(さらき)地区の使われていなかった農作業小屋を改修して2020年から養蚕農家を営んでいます。

(松岡さん)
「養蚕って飼育でもあり、農業でもあるので大変。(体力的にキツイですか?)キツイですね。私全然農業やったことが無かったので」


 京都の大学に進学し染色を学んでいた時に、生糸のもととなる繭をつくるカイコに興味を持った松岡さん。移住を決意させるほど養蚕の文化に魅了されました。