永久保存を義務付けられていた裁判記録が廃棄されていた問題。大分地裁は「取り返しのつかないことをした」と裁判の原告だった工藤剣太さんの両親に謝罪しました。

(工藤剣太さんの父・英士さん)「裁判所としての謝罪と今後の復元に向けての説明を受けてまいりました」
(工藤剣太さんの母・奈美さん)「できるだけ近い状態で復元をという話を聞けたので、きょうはこちらに来て話を聞かせてもらってよかった」

「頭が吹っ飛ぶくらいのビンタ10発」の体罰

2009年8月、大分県立竹田高校剣道部の主将だった工藤剣太さんは、練習中に熱中症を発症し亡くなりました。

元顧問の男性は、意識がもうろうとする剣太さんに、平手打ちなどの体罰を繰り返していました。

(工藤剣太さんの母・奈美さん)「頭が吹っ飛ぶくらいのビンタを10発ほどされたそうです、意識のない剣太にですね」

この事故で、剣太さんの両親は、県などの賠償責任を認める判決を勝ち取りました。しかし・・・

(最高裁の会見)「お詫び申し上げます」

大分地裁は去年、この裁判も含む「特別保存」に指定された6件の記録を廃棄。決められた手続きや後任への引き継ぎなどをしていなかったことが原因でした。

「取り返しのつかないことをした」原状回復に近い形で保管へ

13日、剣太さんの両親は最高裁判所を訪れました。この中で大分地裁は「取り返しのつかないことをした」として、廃棄からおよそ1年4か月が経った13日、初めて謝罪しました。

また、最高裁は廃棄された記録を正式には復元できないとした上で、原状回復に近い形で公文書館に保管する考えを示しました。

(工藤剣太さんの父・英士さん)「今後復元について前向きに考えてくれるということで私は納得している」
(工藤剣太さんの母・奈美さん)「多分同じことは繰り返さないと信じているので、裁判所の方々が決めたことで、こういうことがないようになることが1番いいかなと」

最高裁は今後、具体的な復元方法などを協議することにしています。