重量挙げで高校・大学と日本一になった松本経丸(まつもと・きょうまる)選手。一時競技を離れた時期もありましたが、この春から青森県のアスリート支援制度をつかって青森県を拠点に日本一を目指して競技に取り組んでいます。

240キロのバーベルを軽々と持ち上げる松本経丸選手、24歳。この春から小学生のときに3年ほど過ごした青森県に拠点を移して練習に打ち込んでいます。

重量挙げ 松本経丸選手が持ち上げるのは240キロのバーベル

※重量挙げ 松本経丸 選手
「競技に全て集中できる環境があるので周りの方々に感謝して日々練習している形です」

北海道の高校で競技を始めた松本選手はインターハイ・国体で高校2冠を果たすと、大学でも世代日本一に。日本代表入りへの期待が高まる半面、記録は伸び悩み、次第に焦りを感じていきました。

※松本経丸 選手
「全日本に出ても入賞はできるけど表彰台には届かない時期が続いていた。自分の中では苦しい時期だった」

モチベーションの低下から頂点にたった翌年、大学4年で競技から離れると、卒業後は社会人として警備会社で働いていました。

※松本経丸 選手
「アイロンとかしなくてもシャツのしわが伸びてました。しわしわでもきたらピンと張っています」

新たな生活にも慣れ始めたころ、松本選手を再び競技の世界に突き動かしたのは日の丸を背負った選手の雄姿でした。

松本選手を再び突き動かしたのは同じアスリートの姿

※松本経丸 選手
「自分が夢見ていたトップ選手たちが世界の舞台で戦っている姿を見て何で自分は限界を決めて辞めてしまったのかと強く感じた。会社を辞めて競技をもう1回再開しました」

競技への熱を取り戻した松本選手は働きながら競技ができる環境を探しましたが見つからず。そんな時に出会ったのが青森県の取り組みでした。

青森県は2026年に県内で開催される国民スポーツ大会を見据え、有力選手の確保に向けた体制を強化しています。トップアスリートを受け入れた企業に1人100万円の奨励金とともに成績に応じて選手にも120万の補助金が支給されます。これに加えて、選手を支えるのが「直接雇用」。国内でも先進的な取り組みです。

青森県の取り組み

※松本経丸 選手
「競技に100%集中できる環境でなおかつ生計を立てることができるのは本当に一アスリートとして恵まれた条件だと思います」

受け入れ企業が見つかるまでの間、「青森県競技力向上対策本部」に籍を置きながら練習や強化拠点校などでの指導、就職活動を並行できる仕組みが整いました。

「青森県競技力向上対策本部の松本」として記者と名刺交換する松本選手

※青森県スポーツ健康課指導主事 成田敦夫さん
「優秀な選手を青森県として雇用していきたい思いはある。彼(松本選手)がパイオニアになって他県の選手にいいアドバイスを与えたり、青森県出身の選手も青森県に目を向けてもらえるような原動力になってほしい」

新たな制度を軌道に乗せるためにも、再起を図る松本選手にかかる期待も大きくなります。

※松本経丸 選手
「まずは2026年の青森国スポで個人優勝と天皇杯獲得が第一の目標。その先に日本を背負えるような選手になっていきたい。青森から世界で活躍できる選手になっていきたい」

再び日本一へ そして青森から世界へ 練習に励む松本選手

自分自身、アスリートの未来、そして青森県のスポーツ力向上のために松本選手はふたたび日本一の座を狙います。

青森県の競技力向上対策本部での直接雇用は、松本選手のほかにもソフトテニスの船水雄太選手や2023年のスケート国体で優勝したスピードスケートの山本大史選手など9選手が、今年度始めたこの制度を活用しています。

青森県はこの制度を軌道に乗せ、アスリートが2026年の青森国スポ閉幕後も県内で競技を続けられる環境整備につなげたていきたいとしています。