高血圧症の患者は国内におよそ4300万人、日本人の3人に1人が高血圧症という、まさに“国民病”です。この高血圧症について朗報です。高血圧症の一種の原因となる遺伝子変異が発見されました。新たな診断法や治療薬の開発につながると期待されています。

高血圧症の一種に「原発性アルドステロン症」があります。血圧を調整するアルドステロンというホルモンが、副腎皮質(副腎は腎臓の上にある臓器)から過剰に分泌されることで高血圧を引き起こします。


原発性アルドステロン症は高血圧症全体の約10%を占め、薬が効かない「治療抵抗性」といわれる高血圧症では約20%を占めると推定されます。通常の高血圧症に比べて、心臓や血管の合併症(脳卒中や不整脈など)を起こしやすいのが特徴です。

この「原発性アルドステロン症」について、富山大学や近畿大学がロンドン大学を中心とする国際的な共同研究に参画し、原因となる細胞間の接着分子「CADM1」の遺伝子変異を発見しました。この変異により、副腎皮質細胞間の距離が広がり、アルドステロンを過剰に生み出すことが判明したといいます。
この研究結果は、接着分子がアルドステロンを生み出すことに強く関与することを明らかにした点が画期的で、薬が効かない高血圧症の病態の解明に新たな視点をもたらすとされています。
研究代表者の近畿大学、伊藤彰彦主任教授は「接着分子異常に着目した研究が高血圧症の新たな診断法や治療薬の開発につながることを期待しています」とコメントしています。
