プーチン氏がシベリアの祈禱を呼んで戦勝祈願?
コワルチュク氏の進言がプーチン氏の背中を押したとされる、ウクライナ侵攻。これがうまく行っていないことでどんな影響が出るのか。かつてプーチン氏のスピーチライターを務めた人物に話を聞いた。
政治評論家 アッバス・ガリャモフ氏
「コワルチュク氏は役職は何もないが政治に影響を与える“プーチンの非公式な政治局”の唯一のメンバーだ。“影響を与える”と言うのは控えめな表現で、実際はかなり統括している。FSBのトップや内務大臣のように直接シロビキを指揮したわけではないが、実務を担う将校クラスに忠実な人がいたし、それらにポストを与える権限があった。将校たちはコワルチュク氏に呼ばれればすぐに駆け付け報告していた。それが普通だった。(中略)電撃戦が失敗に終わり、敗戦の可能性も見えてきてコワルチュク氏は困惑している。戦争と自分との間に距離を置こうとしている。将来的に財産を没収され刑務所行きになることをわかっている」

周囲のコワルチュク氏を見る目も変わってきたという。これまですぐに駆け付けていた将校たちも、戦況の悪化とともに駆けつけることはなくなった。将校たちはパトルシェフ氏や“石油王”セーチン氏の方を見るようになったという。しかし、名越教授の見方は違うようだ。
拓殖大学 名越健郎 特任教授
「クレムリン奥の院の暗闘はわからない。が、別の情報もあって…。コワルチュクさんの力がさらに増して、最近は神秘主義。シベリアの祈禱師を呼んできて戦争の勝利を拝んでる。僕が気になるのはプーチンさんが最近演説で新約聖書に触れる。神がかってきた。去年秋には戦死者の母親たちに対し『人は誰でも死ぬ。ロシアでは3万人交通事故で死ぬ。あなたの息子はいい死に方をした』と言った…。死生観に触れるようになった。その辺が気になる。核のボタンを握る最高司令官として神秘主義やキリスト教原理主義を信奉していいのか?それを焚きつけてるのがコワルチュクだという情報もある…」
神がかった人間に、普通の理屈は通用しない。確かにこれは、かなり怖い。
(BS-TBS 『報道1930』 5月29日放送より)