中国は北朝鮮を批判せず…中朝国境の街は

北朝鮮との国境の街、中国・丹東では…

記者「ミサイルが発射された北朝鮮の川向かいの中国側では、大勢の観光客で賑わっています」

発射場所から50キロほどの距離ですが、特段変わった様子はありません。

ーー発射に気付いたか?
男性「全然気付かなった」

男性「発射は日本や韓国、アメリカに対抗するものでしょ。ミサイル発射は丹東、中国には関係ない」

中国外務省は5月31日の会見で対話の重要性を強調。

中国政府は7年前の2016年2月、北朝鮮が“衛星”を打ち上げた際は「遺憾の意」を表明しましたが、今回は批判しませんでした。

北朝鮮に影響力を持つ中国が厳しい姿勢を取らなかったことで、北朝鮮のミサイル発射は続くとの見方が出ています。

北朝鮮が“ミサイル”発射 なぜこのタイミング?狙いは?

山本恵里伽キャスター:
北朝鮮が5月31日、弾道ミサイルの可能性があるものを発射しましたが、なぜこのタイミングだったのでしょうか?外交・安全保障が専門の明海大学・小谷哲男 教授によりますと、北朝鮮が偵察衛星を保有すると掲げていた“国防5か年計画”の一環でありその準備が整ったためとしているんです。

また北朝鮮は事前にこちら危険区域というものを示していましたが、これについては、失敗せずに飛んでいた場合に、日本・韓国・中国などの領空をできる限り避けるルートとなっていて、事前通告も含めて北朝鮮が「宇宙の平和利用をアピール」した形だと指摘しているんです。

小川彩佳キャスター:
今回の打ち上げに関して中国は北朝鮮を非難しなかったんですよね。

山本キャスター:
中国の思惑について小谷教授は、アメリカに対抗する国が増えることで、「米中対立の“圧力分散”」を期待しているのではないかと指摘しているんです。
今ウクライナ侵攻でアメリカとロシアが対立をしています。そうした中で、北朝鮮もミサイルの開発でアメリカに対抗しようとしている状況が、中国にとっては悪いことではないと判断したのではないかということなんですね。
一方のアメリカ政府はといいますと、複数の国連安保理決議違反だと強く非難する声明を発表しました。ただ、小谷教授によると、アメリカは「国連安保理の限界」を感じているのではないかと。
というのも、アメリカの国連安保理で制裁や非難決議を目指したとしても常任理事国の中国やロシアが、賛成するとは思えないためとしているんです。

小川キャスター:
大国間の力学の変化、そして国連安保理が機能するのかどうかという中で、北朝鮮はできるだけ早い時期に2回目の発射を行うとしていますので、今後も注視していく必要があります。