沖縄県内でも都心部から遠く離れている、沖縄本島最北端に位置する国頭村。魚の鮮度を保つうえで輸送距離の長さがハンデとなります。しかし、国頭漁協の漁師たちは“ある方法”でそのハンデを乗り越え、今では県内ではなく県外、海外へ販路を伸ばすことに成功しています。その秘訣を取材しました。

国頭村・辺士名漁港から3キロほど離れたところにある『国頭港食堂』、毎朝、店長が自らセリに足を運び、その日店で扱う魚を仕入れ調理します。

この店の一番の人気メニューはからっと油で揚げた白身魚に、刺身の小鉢を付けた『刺身三点盛りと地魚のフライセット』。サクサクでふっくらとしたフライ、鮮度抜群の刺身に箸が進みます。

来店客「美味しいです。来て良かったですね。あっさりしてるけど、味がしっかりしててサクッと」
来店客「地元の方にお薦めされて来てるので、沖縄で食べるならここが一番おいしいよって言われました」

国頭港食堂 大嶺仁店長「魚の処理の仕方でおいしさは変わる。地元の漁師さんがこだわっていて血抜きとか氷でちゃんと締める。ちゃんと取ってきた魚をセリにだすんで、それを買って出すだけ。ほんとにもう素材の味を壊さず提供する感じ」

新鮮な魚に恵まれていると話す国頭港食堂の大嶺店長。この美味しさの秘訣を探るため、国頭の漁師たちを訪ねました。

櫻井記者「私は今、国頭村の辺士名漁港に来ています。ここでは毎朝新鮮な魚が水揚げされます」

魚の水揚げ量は年間平均150トン。沖縄本島最北端の漁協・国頭漁協は、マグロ漁や定置網漁、延縄漁などが盛んです。国頭漁協の漁師たちが獲る魚はなにより鮮度が自慢で県外・国外からも注目されるほどです。

国頭漁協 比嘉高志参事「台湾、タイとかオファー出す前に送ってくれってオーダーが来ますので、逆にもう鮮魚が足りない状態ですね」

国頭漁協はおよそ4年前から、魚がより高値で売れる、県外・国外への出荷に力を入れていて、東京や海外4か国に鮮魚を出荷しています。シンガポールではミシュランの星を獲得したレストランでも取り扱われたことも。

高い評価を得ているその理由は…

国頭漁協 比嘉参事「魚が獲れた時の締め方とか組合員に指導を、一定のルールを作ってやっておりますので東京のほうにもかなり鮮度がいいと評判を頂いております」

魚の品質を決める上で、最も重要な『鮮度』が評価されているという国頭の魚。鮮度を保つため、どのような工夫がされているのでしょうか。定置網漁の現場を取材しました。

島袋雄二船長「今日入っているかなってドキドキしています。やっぱりカツオとかそういうのが欲しいですね」

船を操縦するのは定置網漁師歴7年の島袋雄二さん。午前7時、仲間の漁師とともに、辺士名漁港からおよそ3キロのポイントに設置した定置網を目指します。

沖合に仕掛けられているのは、横300メートル、縦70メートル、深さ22メートルの定置網です。

照屋春輝乗組員「船がだんだん移動して魚が追い込まれて最後に捕まえる」

仲間と協力しながら慎重に網を引き揚げていくことおよそ30分。海面に魚の影が見えてきました。

きょうの獲物はスマガツオ。網の中を元気に泳ぎ回っています。この日の漁は空振りでしたが、多いときはおよそ400匹のカツオの群れが網いっぱいに入るといいます。

そして鮮度の秘密に迫るのはここからが本番です。