野生のサルの生き方は、もっと自由
野生のサルに「鏡実験」はできないので単純比較はできないのですが、野生のサルではここまで悲しい結果にはならないだろうと思われます。なぜなら、そこが嫌なら群れの外に飛び出して、他の群れで最下位からやり直すという手があるからです。
一般に、サルのオスは近親交配を避けるため、3年もすると他の群れに移動します。別の群れに移って下から順位を上げていけば、違った世界が見えるでしょう。
一度群れから離れてしばらくひとりで生活し、力をたくわえてから別の群れを乗っ取るという強者もいるそうです。
同じ群れにできるだけ長く居るか、いくつもの群れを転々と渡り歩くのか、ひとり孤独を楽しむのか、野生は厳しいけれど自由でもあるようです。
人間は飼育されたサルなのか?
今、人間の社会では自由な働き方への模索が始まっています。
テレワーク、ジョブ型雇用、スキルアップ、ワークライフバランス、ノマド生活、起業…。
人間は、飼育された群れを抜け出して、もっと自由な野生の世界へ旅立てるのでしょうか。
動物学の研究者は、「人間は『自己家畜化』した動物」だと言います。
自分たちをあたかも『家畜』であるかのように管理し、飼い慣らしてきた。
自分でエサを取れないし、災害にも病気にも弱いし、文明社会に守られなければ生きていけない。
私たちはもう野生の世界には戻れないのです。

私たちは『家畜』として生きるしかないのかも知れません。
同じ『家畜』であったとしても…
できるなら、ブロイラーより地鶏になりたい。
できるなら、牛舎に閉じ込められるより大草原で放牧される牛になりたい。
できるなら、誰かに服従するより気ままなヒトになりたい。
人間に飼育された動物、ヒト。
ヒトにとっての、ささやかな自由とは?
現代人に対し、野生のサルはこう言うかも知れません。
「野生のリスクを背負う覚悟もないくせに、”自由”とか言ってほしくないなウッキー」