「2人で過ごすクリスマスは最後ですね」と声をかけると、ちかさんは「そうだ!でも、にぎやかになるからいいね」と、きみちゃんに明るく笑いかけました。

きみちゃんは、「自分は人と付き合うのが初めてだから、その前は、自分は好きな人と付き合えないと思っていた」といいます。ちかさんと過ごす今は「まあ…幸せですね」と、はにかむ姿を見ていると、わたしまで幸せな気持ちになりました。

イルミネーションを楽しんだ後は、ちかさんが予約した狸小路の近くにあるダイニングバーへ。3~4人のグループが盛り上がっているテーブル席を通り過ぎ、2人で静かな時間を過ごせる、半個室のソファ席に入りました。

「じゃあ、メリークリスマス」

乾杯の後は、プレゼント交換です。きみちゃんは、ちかさんにキーケースを贈りました。

「家の鍵を裸のまま持っているから…」きみちゃんの指摘に、ちかさんは苦笑い。きみちゃんは普段から、ちかさんをよく見ているのだなと、愛情を感じました。

ちかさんがきみちゃんに手渡したのは、絵本でした。きみちゃんが羅希ちゃんのために、絵本をたくさん買い集めているのを見ていたからです。

きみちゃんは、「これ、買おうか迷ってた!」と声を弾ませます。

©2022オークラ出版

タイトルは、「王子と騎士」(作:ダニエル・ハーク、絵:スティーヴィー・ルイス、訳:河村めぐみ、出版社:株式会社オークラ出版)。

ある国に、もうすぐ王位を継がなくてはいけない王子がいます。花嫁探しの旅に出た王子は多くの娘たちと出会いますが、自分が思い描く相手とは少し違う気がしています。しかしやがて王子は、ある騎士に出会うのです。

きみちゃんは、「男同士の恋愛の絵本。今もう何冊か同性愛を描いた絵本を買ってあって。海外だと自然に書かれているけど、日本ではなかなかない」と教えてくれました。

2人は、羅希ちゃんが成長する中で抱える悩みや葛藤を減らしたい、解決の手助けができるような準備をしたいと考え、この絵本が欲しかったといいます。