障害や病気など、困難を抱えたアーティストたちが、休館日の大原美術館を訪れました。

他の入館者を気にせず、展示物から感じたことを話し合う対話型鑑賞を行い、作品制作につなげます。


(参加者)「モネはこの睡蓮という絵柄で、空と雲の景色を全部入れようとしているんだと思いますよ」

きのう(29日)、岡山県倉敷市の大原美術館に就労支援A型事業所「ありがとうファーム」で活動するアーティスト29人が集まりました。障害や病気など困難を抱える人にとって、他の人に気兼ねせず作品を鑑賞する機会は限られています。

今回、休館日・貸し切りの空間で開かれた「対話型の鑑賞」。

少人数で対話しながら作品を見ることで、これまで大人数の中では感じることが難しかった作品の魅力に触れてもらい、印象を深めてもらおうという企画です。


(大原美術館 社会連携課 竹本暢子課長)
「作品に描いてあるものをよく見て、『何が描いてあるかな』『どんな感じがするかな』そして『そこからどんなことを想像するかな』といったことを、チームの中で話し合いをしながら決めて鑑賞します」


それぞれの参加者が、モネの「睡蓮」を見て感じたことについて意見交換を行い、ワークシートに記入します。


(参加者)
「葉っぱのところがカッパの髪の毛に見えたので、カッパの親子が住んでいるのかなと思って」


「青や緑の絵なのに、ものすごく強く赤みを感じて、そこから何か作品に発展させたいなと感じました」

(ありがとうファーム アートディレクター 深谷千草さん)
「正解を出すというよりは、どんなふうに世界をとらえているかを見るのがものすごく楽しみです」


参加者たちは作品を見て感じたことや、ほかの人の意見をもとにスケッチを描いていきました。

オリジナルとは違うさまざまな表現で新たな「睡蓮」が誕生します。

(参加者)
「(ネコが)現地で余暇を満喫しているということです」

「個性的な内容だと思っています」

対話型鑑賞によって描かれたスケッチは、解説とともに発表されました。

これまでになかった取り組みは作品制作以外にも期待が寄せられます。

(ありがとうファーム 馬場拓郎副社長)
「アートを媒介にして自分の思いを積極的に発言していましたので、本当にこの日常での生活や仕事にもいい影響を与えてくれると思っています」

参加者たちは9月22日に開催される報告会に向けて、今回のスケッチをもとに2つの作品を仕上げるということです。
【解説】
「ありがとうファーム」は絵画や工芸品などを販売したり、企業に貸し出したりすることで収入を得ていて、今回の取り組みから、大原美術館の作品をモチーフにしたアート作品の制作や、企業タイアップ商品の開発を行う計画だということです。














