財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会が財政運営の在り方を示す「建議」を鈴木財務大臣に手渡しました。焦点となっている「少子化対策」の財源については、将来世代に負担を先送りするのではなく、所得などの能力に応じて、全世代で負担すること強調しました。

今回の建議では、焦点となっている「少子化対策」について10ページにわたって記載されています。

(1)父親の子育てへの参画や、(2)母親の就労に関する社会の意識、(3)柔軟な労働市場、(4)子育て支援政策が重要だとした上で、「若い世代の所得を増やす」観点から「男女ともに働きやすい環境整備を実現する必要がある」としました。

その上で、児童手当における「所得制限の撤廃」については、「若い世帯に対するメッセージがとりわけ重要であり、全ての子育て世帯を社会全体で支える姿勢を示す意義がある」「高所得の子育て世帯は所得に応じた税負担をしていることで全体のバランスはとれている」などといった意見を紹介しました。

また、児童手当の支給年齢を「中学生まで」から「高校生まで」に延ばす案については、「現在の扶養控除(所得控除)による税制との関係を整理する必要がある」と見直しの可能性を示唆しました。

一方、過去20年のデータを見た時に「子どもが3人以上いる夫婦の割合が大幅に低下している」として、「子どもが3人以上いる多子世帯に重点配分することが考えられる」としました。

最大の課題である「財源」については、「将来世代に負担を先送りするのではなく、社会全体で安定的に支えていく必要がある」として、「子育て世帯が子育て期間全体を見た時に負担よりも給付が上回るようにすること」や、「現役世代の保険料負担の増加を極力抑制する取り組みが重要になる」としました。

岸田総理は足もとの少子化対策について、「税による負担増」はいまのところ検討していませんが、今回の建議では「税も選択肢から排除すべきではない」との意見があったことについて触れています。