昨年の世界陸上オレゴン100m金メダリストのフレッド・カーリー(28、米国)が、ゴールデングランプリ(GGP)に圧勝して世界陸上連覇の自信を大きくした。GGP2023横浜は5月21日、今年は横浜市の日産スタジアムを舞台に15種目が行われた。男子100mはカーリーが9秒91(+0.4)で2位に0.19秒差を付けて優勝。2位にロアン・ブラウニング(25、豪州)が10秒10で入り、同タイムの坂井隆一郎(25、大阪ガス)が3位。坂井は脚が攣りそうな状態ながらもカーリーとの差を、オレゴンの準決勝より縮めて9秒台への手応えを得た。4位の小池祐貴(28、住友電工)も10秒11と、20年以降の自己最高をマークした。

カーリーが「ブダペストは楽勝だと思う」と言い切れた理由

9秒91で優勝したフレッド・カーリー

レース後のカーリーは自信に満ちあふれていた。スタートして30m付近で顔を上げたときには、3レーン外側の坂井と並んでほぼトップ。50m付近で抜け出すと、後半は差を広げる一方だった。レース後の取材で8月の世界陸上ブダペストの目標を質問されると、「楽勝だと思う。今(自分は)世界最速だ」と答えた。

昨年の世界陸上オレゴンを9秒86(-0.1)で制したとはいえ、2位のマーヴィン・ブレイシー(29、米国)と3位のトレイボン・ブロメル(27、米国)の2人も9秒88で、0.02秒差の接戦だった。昨年は世界陸上の200m準決勝で軽いケガをしたため、それ以降は1レースも出られなかった。

それでも「楽勝」と言えるのは、今季のレース(とトレーニング)に手応えがあるからだろう。GGPのレース後に次のようにコメントした。「9秒88はシーズン開幕戦の自己最速記録で満足している。だから、残りのシーズンも完璧だ。楽しんでいく」。

19年世界陸上では400m銅メダリストだったカーリーが、100mに進出したのは21年。その年の100m初戦は10秒15(+1.2)で、東京五輪では9秒84(+0.1)で銀メダル。22年の初戦は9秒99(-0.6)で、世界陸上オレゴンが9秒86(-0.1)の金メダルだった。

過去2シーズンの実績に加え、GGPのレース内容が自身の想定通りだった。前日の会見でも「明日は自分のプラン通りに走ることができれば、いいタイムは出る。陸上競技は動き、フォームすべてを正しい形で実行する必要がある。スタートから中間、フィニッシュまでのすべての動きを完璧にできれば、速いレースができる」と話していた。

それが実行できたことをレース後に明かした。「今日やろうと思って準備して、期待していた通りのレースを実行できたと思う。今日は何ができるかわかっていた」。

ブダペストでの連続金メダルへのプロセスが順調であることを、カーリーは横浜でしっかりと確認した。