生まれたばかりの我が子を殺害した罪などに問われている小関彩乃被告(23)の裁判。札幌高裁は、懲役5年の1審判決を支持し、被告側の訴えを棄却しました。小関被告は、事件前、性風俗店で働き、誰にも相談できないまま、子どもを出産していました。社会から孤立し、声を上げられなかった背景には、何があったのでしょうか。

「とっさに殺してしまおうと・・・」 たった一人で出産

去年6月、北海道・千歳市の駅のコインロッカーから乳児の遺体が見つかった事件。

記者
「遺体が入っていたロッカーは、暗証番号やICカードでロックする“キーレスタイプ”のもので、発見時、ロックがかかった状態だったということです」

殺人と死体遺棄の罪に問われたのは、23歳の小関彩乃被告です。5月23日の控訴審判決で、札幌高裁は、懲役5年の1審判決を支持し、被告側の訴えを棄却しました。

犯行前に「赤ちゃんポスト」「妊娠SOS」と検索していたという小関被告。なぜ誰にも相談せず、一人で子どもを産み落とし手にかけたのでしょうか?

記者
「小関被告は高校時代、ソフトボール部での活動に打ち込む一方、部内では“いじめ”にあっていたといいます」

家族にも相談できず唯一悩みを打ち明けたのは、交際していた1学年下の男性でした。高校を卒業してすぐに、彼との子どもを身ごもりますが親の説得で中絶。その後、マッチングアプリで出会ったのは、仙台市に住む大学生でした。

仕事が長く続かない。人間関係でトラブルになる。小関被告が飛び込んだのは、“性風俗”の仕事でしたが、月収約60万円は、すべて交際相手の競馬代や奨学金の返済などに消えていきました。そして性風俗の客に、いわゆる“本番行為”を強要され妊娠しました。

【1審の被告人質問】
小関被告
「客に口をふさがれ、スマホを没収され、手足を縛られ、抵抗できないようにされた。『もう同意だよね?』と言われ、中出しされた」
弁護人 「レイプだと思った?」
小関被告「思いました」
弁護人 「なぜ警察に言わなかったのですか?」
小関被告「風俗をやっている以上、こうしたリスクはつきもので相談できないと思った。他の人から『相談してもほぼ門前払い』だと聞いていた」

妊娠のことを誰にも打ち明けられないまま、去年5月に陣痛が始まった小関被告。ホテルの浴槽に、お湯を張り水中で出産しましたが、その後、生まれ落ちた赤ちゃんを湯船に沈め殺害しました。

小関被告
「赤ちゃんと目が合ったような気がした。以前に中絶した子どもと、この子に『なんでお前ばかり幸せなんだ』と責められているような気がした。とっさに殺してしまおうと思って、横向きで水の中に沈めてしまった」