
5月21日、三重県鳥羽市の港町に小さな旅館がオープンしました。オープンの日には、わざわざ東京から訪れた人も。注目を集める、その旅館とは…。

三重県鳥羽市小浜町、過疎化が進む小さな港町です。子どもたちの楽しそうな声が響く場所があります。
5月21日、ここに新しい旅館がオープンしました。
実は、この建物は3年以上人が住んでいない「空き家」でした。


築100年ほどで、老朽化を理由に前の借主が退去した後、所有者が空き家のリフォームを手がけていた森大地さんに「再生」を託したのです。

(森企画 代表取締役 森大地さん)
「『空き家って、そんなふうに活用できるんだ』とか、興味を持ってくれる人が増えると、空き家問題の解決に向かっていくのではないかと」

この場所は、近くに鳥羽水族館やイルカと触れ合えるレジャー施設などがあることから、森さんは空き家を「旅館」にして地域の活性化につなげようと考えます。
構想から約2年…、完成したのが「旅館なおみ」です。


完成した旅館を、まずは地元の人に楽しんでもらおうと、見学会が開かれました。
(地元の子どもたち)
「友だちと遊びに来て知った」
「こうやって話題を作って、鳥羽市をみんなに知ってもらいたい」


森さんは今回、「空き家」から「旅館」に生まれ変わる途中経過を、SNSで発信してきました。
オープンの日に投稿した動画は、これまでに1万3000回視聴され、実際に東京から家族連れで来た人も…。

(東京から来た人)
「こういうふうに、できあがっているんだと目で見た。本当にきれいになっていてびっくりした」
「地域の活性化として、空き家を再生するシンボルとして、いい存在になっていけばいいなと思う」
町が衰退する象徴だった「空き家」を「人が集まる場所」に。
森さんは空き家が秘める「可能性」に手応えを感じています。

(森企画 代表取締役 森大地さん)
「『森さんのわくわくから勇気をもらって、実家を再生してみます』という声をいただいて、ちょっとずつ輪が広がっていると実感している。今後もわくわく楽しそうな活動の様子を広めて、輪が広がればいい」

空き家を再生したこの旅館。
当面は資金を援助してくれた人たちが優先的に利用できるようにしていて、8月ごろからは、一般の人の宿泊も受け付けるということです。