東北電力が再稼働を予定する宮城県の女川原子力発電所2号機を巡り、石巻市の住民が運転差し止めを求めている裁判が24日、判決を迎えます。裁判について、司法担当の阿部航介記者の解説です。
増子華子キャスター:
この裁判の争点となっている「広域避難計画」とは改めて、どのような計画なのでしょうか。
阿部航介記者:
広域避難計画は、原発事故が起きた際、周辺の住民を避難させるための手順などを定めたものです。こちらは女川原発を中心に同心円を描いた地図です。

原発から半径5キロ圏内は赤、5キロから30キロ圏内は黄色に色分けしています。女川原発2号機で事故が発生した場合、計画では、原発5キロ圏内の赤い部分に住む住民は放射性物質の放出が無くても黄色の外、30キロ圏外に避難。黄色い部分に住む5キロから30キロ圏内の住民はまず屋内退避し、放射線量が国の基準を超えた場合には黄色の外の30キロ圏外に避難するということが定められています。
増子キャスター:
では実際に避難することになった場合、どのような手順で避難するのでしょうか。
阿部記者:
原告側が重視しているのは放射線が放出された後の避難についてです。つまり、5キロから30キロ圏内の住民の避難です
こちらのフリップをご覧ください。

原発事故が起きて放射線が放出され、国から避難指示が出た場合、住民はまず、県内21か所に設けられる「検査場所」に向かい、被ばく量の測定や放射性物質の付着の有無を確認する必要があります。このときの移動は原則、自家用車を使うことになっています。その後、「避難所受付ステーション」に向かいどの避難所に行くか振り分けられるという流れです。
増子キャスター:
裁判ではこの避難計画の「実効性」が最大の争点になっているわけですね。
阿部記者:
原告側は、「計画には不備があり、避難する住民に被ばくの危険性がある。住民の人格権を侵害する恐れがある」と主張し原発の運転差し止めを求めています。

原伸雄原告団長:
「ここで今こそ立ち止まって、被ばくしないで逃げられる方法を考えてもらうことが大事。ずさんな欠陥だらけの避難計画の元での再稼働は許されない」

これに対し東北電力側は、「国や県などで作る協議会が避難計画を具体的かつ合理的と認めている」、「原告は放射性物質の放出を伴うような原発事故が発生する具体的な危険を立証していない」などと反論し請求の棄却を求めています。

増子キャスター:
原告側は具体的に計画のどの部分の不備を指摘しているんでしょうか。
阿部記者:
こちらのフリップを再度ご覧ください。住民が避難を始めて一番最初に向かう、被ばく量の測定などを行う「検査場所」です。計画では県内21か所の検査場所には県から320人、東北電力からは600人が派遣され被ばく量を検査することになっています。しかし、原告側は「避難車両の動線」や「検査に使う機材の場所や数」、「人員の割り振り」など具体的な現場での計画が未だに定められていないと指摘しています。

こうしたことから、原告側は「検査場所の開設は不可能」と指摘し、計画に実効性が無いことの大きな根拠としています。

増子キャスター:
こうした原発の差し止め訴訟は全国で起きていますよね。
阿部記者:
2021年、水戸地裁は東海第二原発の運転の差し止めを命じました。これは、「原発の周辺に広域避難計画が定められていない自治体があったこと」が大きな理由となっています。

今回の女川原発差し止め訴訟は「広域避難計画の不備」のみを争点とした全国で初めての裁判で、今後の裁判にも影響が大きいため、判決が注目されます。

増子キャスター:
判決は24日午前11時に仙台地裁で言い渡されます。














