目撃談④~落ち着かない打順
立浪和義監督は、この試合でまたまた打順を入れ替えた。大島洋平選手を6番に置く打順は、おそらくシーズン前の構想のひとつにあったのだろう。
今季2000安打をめざし、1打席でも多く打席数がほしい大島選手だが、「6番・大島」は悪くない打順だろう。
しかし、大島選手本人が、かつて打順が毎試合のように変わっていた与田剛監督時代に語っていた言葉を思い出す。
「打順にはそれぞれ役割がある。ある程度は固定してほしい」。1番打者と2番打者では明らかに違うのである。ましてやクリーンアップの後を打つ6番。
今季のドラゴンズは、開幕以来、打順がよく変わる。打線と言われるように、それは「線」であるべきだ。
今季チーム打率が良くても、得点数が少なすぎるチームの一因ではないのだろうか。少し落ち着いた打線を見てみたい。
目撃談⑤~若き希望の光たち
それでも、起用されている若竜たちに、スタンドから熱い声援を送り続けた。
石川選手、細川選手に加えて、ルーキーの福永裕基選手と村松開人選手。痛いエラーはしたけれど龍空選手らに、竜党の声援は惜しみなく続いた。
そして、もうひとり、この日ゲーム前の打撃練習での鵜飼航丞選手。打ち返す打球は、次々と左中間スタンドに飛び込んだ。別格の飛距離を目の当たりにした。
ドラゴンズファンだけでなく、ジャイアンツファンからも、どよめきが起きていた。

打ち終わった時、東京ドーム全体から、大きな拍手が鵜飼選手に送られていた。
細川、石川、そして鵜飼、いつかはこんなクリーンアップも見てみたい。
希望の光は確実にある。
ただ、その成長はヒリヒリするようなペナントレースの中でこそ、さらに磨きがかかるはずだ。最下位に甘んじているチームでは、若い力の成長も加速しない。
今季の負け越し14は、立浪ドラゴンズ1年目のワーストに並んだ。期待の2年目だっただけに「まさか」の思いがある。
勝てないチームが何をするべきか。弱いチームが何をするべきか。まだシーズンは100試合以上も残っている。
応援を続けるファンのためにも、中日ドラゴンズという球団は、監督、コーチ、選手、そしてフロント含めて、プロとしての意地を見せてほしい。
最下位がいつまでも“現在地”であってはならない。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。