「こんな行列、みたことない」

時間を追うごとに長くなる行列。午後4時半の先行入場開始前、スタジアムの周りは人であふれかえった。長年、チームのカメラマンをしてきたという男性も思わず、「こんな行列、みたことない」。藤色のユニホームを着た観客が次々とスタジアムに吸い込まれる光景を写真に収めながら「チケットが完売して、テレビの生中継もあって…こんな日がくるなんて」。
観客が一度に大勢集まったことで思わぬことも起きた。携帯電話が通話も、ネットも繋がりにくい状態となった。入場券がQRコードという人も多く、クラブでは「これから来場される皆様はQRチケットの画面のスクリーンショットのご準備を」と急ぎツイッターで告知。これも注目度が上がったことで、わかった課題だろう。
「まだまだやれる」

Jリーグの野々村芳和チェアマン、そして、スタンドを埋めた多くの客が見守る中、午後7時3分にキックオフされた“静岡三国決戦”第3ラウンド。アウェー席を埋めた磐田サポーターの歌声と藤枝サポーターの声、手拍子、そして「ハリセン」を打ち鳴らす音で、5月とは思えぬ日中の暑さから少し解放されたはずのスタジアムは、再び熱くなった。
藤枝と清水の両方を応援しているという男性は藤枝の可能性をこう語る。
「藤総(藤枝総合運動公園サッカー場)のメインスタンドは、純粋にサッカーを観るのが好きな人が多い。日本平は“ゴール裏経験者”のサポーターがメインやバック(スタンド)にも増え、スタジアム全体が戦う雰囲気になってきている。藤枝だって、ゴール裏も、メインもまだまだやれる。これだけ魅力的なサッカーをやっているんだから、もっと声で選手の背中を押してあげれば、さらに強くなれるはず」