老朽化が進む学校のプール。高知市内の市立学校では6割を超えるプールが建築後、30年以上経過しています。去年の調査で「使用禁止」と判断された高知市の朝倉中学校では、今年、水泳の授業を市営プールで行うことにしました。
高知市によりますと、市内の市立学校のうちおよそ64%のプールが建築後、30年以上経っていて、早急な対応が必要です。

一方で、1校あたりのプールの維持管理経費は年間およそ100万円、プールの改築費用は2億5000万円から3億3000万円ほどかかることから、老朽化対策と費用削減を両立することが求められています。

こうした中、今月10日、学校関係者や保護者、行政機関が集まって対応を検討する会が開かれました。検討委員会を設置するきっかけとなったのは、去年夏、プール槽のメーカーなどの点検により朝倉中学校のプールが「使用禁止」と判断されたことでした。
(松岡葵アナウンサー)
「高知市朝倉中学校のプールです。一見、老朽化していない普通のプールに見えます」

水深およそ1.2メートル、長さ25メートルのこちらのプール。建築後36年が経過し、よく見ると老朽化が進んでいました。
(高知市立朝倉中学校 武田和久 校長)
「まずひび割れの箇所はここです。子どもたちがここを通ることはあまりないんですけど、大体プールサイドを通るので・・・ただやはりこの状態でそのまま置いておくことで、危険が生じてくるということが考えられます」

(高知市立朝倉中学校 武田和久 校長)
「もう一か所危険と言われているところは、壁面のたわんでいるところです」

(松岡葵アナウンサー)
「たわんでいることで、何か悪影響はあるんですか?」
(高知市立朝倉中学校 武田和久 校長)
「聞いているのは、たわんでいることでプール槽の強度が弱くなるということで、(生徒が)ターンしたときに、蹴った瞬間ここが破ける可能性があるということを言われています」

朝倉中学校では、今年の水泳の授業は5.2キロ離れた高知市の総合体育館で行うということですが、来年以降についてはまだ決まっていません。移動時間はバスで片道およそ20分、授業と合わせると2時間ほどかかることなどから、通常10から12コマある水泳の授業を6コマにとどめることにし、うち3コマはプールで泳ぐのではなく、座学で行うことにしています。
(高知市立朝倉中学校 武田和久 校長)
「本来なら本校で水泳の授業を行えることが一番ベストだと思っていますが、体育科の教員に聞くと、スイミングスクールを利用したり、スクールの指導者と一緒に授業を行えたりすることは非常に効果的であるという声も聞いています。子どもたちの声も聞きながら、来年度どうしていくか検討していきたいと思っています」
県外の自治体ではすでに撤廃しているところもある学校のプール。県内の学校でも元気に泳ぐ子どもたちの姿を見られなくなる日がやってくるかもしれません。