新潟県によりますと、阿賀町のサルによる農業被害は2019年から2021年まで毎年300万円を超えていて、県内の自治体の中で最も被害が大きくなっています。

【波多野健治さん】
「人を恐れなくなったサルが集落の方に行くと、集落付近の畑や縁側、ベランダなどに干してあるものを取って食べてしまったり…」

実際に阿賀町で去年サルの被害に遭ったことのある遠藤佐(たすく)さんにもお話を伺いました。

【遠藤佐さん】
「トマトは赤くなったものは全部やられて、青いのだけ残していく。トウモロコシは熟したやつは全部取られて食べられて、悔しくてしょうがないっていう…」

実は、遠藤さんの畑の周りには草の生えた“耕作放棄地”が点在しているそうです。

【遠藤佐さん】
「元々は十何件も農家がいたんだけども、みんな辞めちゃって…。歳のせいもあるんだけど、サルにやられて苦労しても何も収穫がないので、と辞める人も」

阿賀町によると、サルの被害が増え始めたのは20年ほど前から。
人口減少や高齢化による耕作放棄地の増加、狩猟者の減少などが主な要因です。

サルによる被害というのは「単なる直接的な農業被害だけに留まらない」と、阿賀町では被害の深刻さを実感しています。

阿賀町有害鳥獣係 江花一実さん

【阿賀町有害鳥獣係 江花一実さん】
「サルの被害があるとせっかく育てた作物が全滅してしまうので、高齢者にとって張り合いにもなっているはずの農作業が、もう一気にやる気がなくなっちゃうんですよね。そうすると、お年寄りの元気がなくなって病気がちになり、ひきこもりがちになり、保険とか福祉にかかる町の経費が上がってしまう…」