「残りの人生、この子らと生きていく」児童養護施設退所後の子どもを支える73歳の寮母
彼らを支えるのが、寮母の井上陽子さん(73)。
元々は小学校の教師だったが、56歳で退職。生徒指導を担当する中で、ある「非行少年」との出会いが井上さんの人生を変えた。
その少年は、父親の家庭内の暴力から児童養護施設へ入り、15歳ころまで施設で育った。
高校へは行かず、住み込みで働きながら職を転々としていたところ…
「大麻所持で逮捕された」と井上さんに報告が入った。
井上さん「現役時代、私はこういう孤独な子どもたちを見逃してきたのかなと。残りの人生こういう子どもたちと一緒に生きていけたらいいなと。」
児童養護施設で暮らす子どもたちが相談相手がいないまま非行に走るケースに直面し、居場所のない子どもたちを支えようと、退職後、“里親”として自宅で養護施設の子どもたちを引き取って育て、これまで「15人」の里子を社会に送り出してきた。
自宅の玄関には巣立って行った子どもたちが残した色紙が飾られている。

いまも3人の里子を育てている最中だ。
井上さん「色んな困難を抱えてやってきた子たちで失敗も多い。なんで失敗するのかを一緒に考えるのが楽しい。『俺大丈夫やっていける』と自信を持って社会にでていく姿を見られるのが本当に喜び」
そして、7年前に作ったのが「自立援助ホーム」。
里子同様、ここで暮らす若者たちも本当の家族として接している。説教も日常茶飯事…
井上さん「おまえスマホ投げたやろ?あれはいかん。あたっていたらどうするの?イヤな事があれば言えばいいんだから、1人で我慢しないで。」
井上さんが「自立援助ホーム」を設立した背景には“18歳の壁”という問題があった。