日本のジェンダー問題は道徳みたい “男女格差”解消へ 海外は?
ホラン千秋キャスター:
女性であるというだけで、差が出てきてしまうのは本当になぜだろうという疑問がずっとあります。野口さんは海外の方とお仕事されることも多いですが、どうご覧になっていますか。
宇宙飛行士・野口聡一さん:
私は娘が3人いますので、彼女たちが活躍できるような社会を実現したいと思っています。
SDGsの2030年までに達成すべき目標の5番目に「ジェンダー平等を実現しよう」がありますが非常に重要な課題です。
日本は「2022年ジェンダー・ギャップ指数」でも順位が下位にあると言わざるを得ない、圧倒的な下位なんです。海外から見ると日本のジェンダー問題は“弱者のお話を聞いてあげる”道徳のような感じなんです。しかし海外は経済成長のための戦略。勝つための戦略なのでジェンダーギャップを解消することが、チームとして国として強くなるんだと。同質なものばかりでやっていると、イノベーションが発生しないから、いろいろな立場の多様性を重視してチームとして強くなるために、ジェンダーギャップを解消しようとしている。はっきりしています。
ホランキャスター:
個人の豊かさだけではなく、ひいてはそれが国の発展に繋がるという。
宇宙飛行士・野口聡一さん:
国、会社、組織、全てそうです。組織としての強靱性であったり、まさしく社会情勢が変わっていくなかで、柔軟に対応していかないといけない。それが一つの性、一つの年齢層だけでは新しい展開が得られないことが、はっきりしてきたってことでしょうね。
日比麻音子キャスター:
職場でのジェンダーギャップの改善は社会全体に関わるものだと思います。
友人から聞いた話ですが「母になって職場に戻ってきたときに『お母さんなのにすごいね』と言われた。なんでだろう。私は何も変わってないのに」と言っていました。産休を取ったあとの女性の復職について海外でご活躍されている野口さんはどのように感じていますか。
宇宙飛行士・野口聡一さん:
宇宙飛行士の職場でも結婚して出産して戻ってきます。つまりその出産前後で、その人の職業としての能力が変わっていないのであれば同じところに戻ってくるはずですから。何年間かギャップがあっても同じ。要はその人に対して能力を見てるか、外見的な条件だけで判断しているか、そういうところではないでしょうか。
日比キャスター:
どうしたら改善するんでしょう?
宇宙飛行士・野口聡一さん:
一つは法的な整備も当然あると思いますが、組織として色々な人を包含していく。それによってチームとしても強くなるという姿勢を明確にしていかないと。失われた30年と言いますけど、これを打破するのはジェンダー、年齢、人種といったギャップをどんどん取り払って、日本の組織を多様性に満ちたものにするのが一番効果的だと思います。
南波キャスター:
国としての海外の取り組みを具体的に紹介します。

▼スペイン
・「ジェンダー平等法案(2023年3月閣議決定)」
2024年7月までに上場企業の取締役「4割以上を女性」に義務づけ
→現在32%ほどの割合を4割以上にしていこうというもの。
▼フランス
・「パリテ法(2000年制定)」
各政党の候補者を「男女半数ずつ」に義務づけ
→2021年フランス下院で38%が女性議員に。
1997年の段階では10%ほどだったのが大きな改善
ホランキャスター:
このような取り組みを行いますと、それこそ差別じゃないかという声も上がってきます。男女平等が当たり前の土壌を作るまでに必要な取り組みだと思いますがいかがでしょうか。
宇宙飛行士・野口聡一さん:
おっしゃる通りです。これはクォーター制と言われますよね。ともかく数は揃えていこうと。それ自体が目的ではないけれど、クォーター制を通しながら数を上げていき、チームとしての多様性をまず実現してみようと。その良さを実感したいと思いますね。
日比キャスター:
みんなでジェンダーについて話していく。ようやくだなという実感があります。
宇宙飛行士・野口聡一さん:
今回のSDGsウィークを通して、そういう話題をどんどん男性も含めて出していきたいなと思います。
ホランキャスター:
女性である、男性である、母である、父である、それぞれその人を構成する一つの肩書きであってそれが全てではないということを考えると、私たちは気軽に「お母さんだからすごいよね」「お父さんだからすごいよね」と言ってはいけない。全て含めてその人なんだなというふうに見ていきたいですね。














