2軍では《無双》1軍では《縮こまる》村上を変えた”師匠”

昨季セ投手3冠・青柳晃洋と合同自主トレをおこなう村上頌樹(今年1月)

 東洋大から2020年ドラフト5位で入団した村上は、1年目からファームで華々しい活躍を見せていた。1年目に最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠に輝くと、2年目も防御率、勝率の2冠を獲得。2軍では敵なしの“無双状態”だったが、1軍での『プロ初勝利』は達成できずにいた。

「1軍だと縮こまってしまって、自分の投球ができていなかった。」

村上は、自身の過去2年間をそう振り返る。転機が訪れたのは今年1月。虎のエース・青柳晃洋と共同生活を送った約2週間の自主トレ期間に、1軍で戦うためのエッセンスを注入された。

「配球の考え方や、試合中どういう意識で投げているかなど色々聞いた。青柳さんでも『緊張する』って言っていたんで、気が楽になりました。」1軍の舞台で投手3冠に輝いた先輩のアドバイスが、いい“教科書”になったのだ。

さらに、今シーズン好投の要因と本人が語る『投球フォーム』。その土台づくりができたのも自主トレ期間だった。《力まず強いボールを投げる》ため設定した自主トレのテーマは『足をついてから投げること』だった。投球動作を考えると、当たり前に感じられるテーマだが、これが村上のツボにはまった。

「腕がちょっと遅れながら出てくるイメージ。足をつくのと同時に投げると、タイミングが取りやすいですし、ちょっと間をつくって、キレのいいボールを投げる。いいタイミングで投げられたときは、力を入れなくても伸びのある球が投げられている。」

この感覚が研ぎ澄まされた結果、今シーズンの快投につながっていた。4月の好投について、“師匠”の青柳投手からのコメントはなかったのか?と尋ねると、「普通に『ナイスピッチ』って感じで、特別なことは無いです。『当たり前でしょ』って感じで。」エース・青柳が村上を認めている証拠だ。