一方で、西側諸国に対してはこのような言葉がありました。

プーチン大統領
「西側諸国はいつも優位性について語っている。世界を分裂させようとしている。彼らの目的は、我々の国を破壊することだ

この行事はそもそも犠牲者の追悼や国際社会の結束といった象徴の側面もある中で、西側諸国に対しては強い非難の言葉があったわけです。

ホラン千秋キャスター:
ウクライナ侵攻が始まって2回目の戦勝記念日になるわけですけれども、前回と比べて今回は規模が縮小されたり、今までと勝手が違ったりというのはどんな背景があるんでしょうか?

防衛省 防衛研究所 高橋杉雄氏:
基本的には今、最前線で激戦が繰り広げられているので、最前線で使っている兵器を出せなかったということだと思います。また、最前線で泥まみれになっている兵士がアイロンの通った軍服でパレードをしている兵士たちを見てどう思うかを考えたときに、あまり派手に演出できないといったところがあったのではないかとも思います。

同時にここでナショナリズムを高揚させないと、軍隊に入ってくる人を増やすことができないので結構ジレンマがあったのではないかなと感じます。

ホランキャスター:
海外のメディアを入れないのはどういうことでしょうか?

防衛省 防衛研究所 高橋杉雄氏:
おそらく全体をコンパクトにしたいということと、あとは基本的にこれはロシアのものだというところで、国際的なアピールに気をつかわなくなっているということではないかと。

ホランキャスター:
肝心の内容に気になる部分はありましたか?

防衛省 防衛研究所 高橋杉雄氏:
言った部分と言っていない部分がポイントだと思います。

発言した部分で言えば、西側に対する敵愾心ですよね。これはこれまでの演説でも一貫していて、プーチン大統領は民主主義とかだけではなくLGBTの問題などについても、はっきりと敵意を示しているわけです。あと、対独戦勝記念日ですからナチスに対する勝利を祝うイベントなわけですけれども、そこにおいて西側がナチスみたいになっているというか、西側がウクライナを支援しているからウクライナの国民が悪いんじゃなくて、ウクライナを支援する西側が悪いんだっていうトーンを強調しているのも言ったことですね。

言わなかったこととして言うと、戦意を煽るような挑発的な言葉はあるんですけれども、喋り方としては非常に穏やかに喋っていましたし、そのあたりをどう読み解くかを考えていく必要があると思います。