広島カープ 九里亜蓮 投手
アメリカに行く前に、投球フォームがもう全部変わってもいいくらいの気持ちで行っていたので。直すべきところはしっかり直していきながら、いいものはいいで残して、よりいいものを作り上げていくっていうイメージですね。

プロ10年目のシーズンを前に、3年ぶりのアメリカ自主トレで大きな改革に取り組んできた 九里亜蓮 投手―。体の部位1つひとつを意識した投球フォームは、恐ろしいほどに繊細で、左足の使い方だけで春のキャンプの全ての期間を費やしたほどです。

九里投手
(部位ごとに)順番にやっていって、ある程度、意識せずにできるように。で、そこからもう1回、フォームチェック入って、ちょっとここをこうしてみようかっていう感じなので。

この段階を踏んでいる中で感じるものが、“違和感の正体” 。特に今、感じているのは、「上半身に力が入っていない」投球です。この違和感からか、これまで抜群の安定感を見せている九里投手ですが、自身が納得するマウンドはないそうです。

九里投手
今は(納得したマウンドは)あまりないですかね。これは、いい感じのフォームで投げられているのかなっていう感覚はありますけど、自分の中でまだ、しっかり上半身に力を伝えて投げられるんじゃないかっていうイメージがあるので。

現在は両足の意識を残したまま、左手の使い方に取り組んでいます。ただ、この投球フォーム改革には終わりがなく、これからどう変化していくかは、本人にすらわからないそうです。

九里投手
わかんないんですよね、それがまだ、ぼくも。自分の中で感覚がしっかり合ってきて、今みたいに下半身が上半身についてくるような形で、その中で腕だけ早く振れているというふうになるのかもしれないし。下半身の速さに上半身の速さもついてきて、力強さが見えたっていうふうになるかもしれないし。それは、合っていかないと、ぼくもわからないところではあります。

それでも、ここまで防御率1点台に抑えるなど、進化が感じられる九里投手。プロ10年目に突入した今シーズンは、個人のレベルアップにより、チームが勝つ投球を “がむしゃら” に追い求めていきます。

広島カープ 九里亜蓮 投手
個人の成績としては、やっぱり今まで野球生活に残してきた成績よりもいい成績を残したいと思っていますし。やっぱり自分が投げている試合で負ければ、くやしいので、なんとか、自分の勝ち負けどうのこうよりは、最後まで勝つチャンスがあるようなピッチングを続けていきたいなと思っています。

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石田充 アナウンサー
違和感だらけなのにセ・リーグ4位の防御率を誇るという九里投手の約1か月半なんですよね。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
さっそく九里投手が取り組んできたものを実践して紹介していきたいと思います。九里投手は、左足の曲がっている状態から地面の力を借りる、反発する力をキャンプのときからずっとやっているんですね。踏み込んだ左足をけることによって下半身が速く回れるんです。これが、九里投手が言っていた「下半身からの連動で上半身が速くなる」。地面からの力を借りて、けることによって(腰の)回転が早くなる。その回転が速くなったものを次に腕の力に変える。これを今、実践しているんですね。

石田アナ
なるほど。

天谷さん
今、九里投手は左足をやりすぎていて、ちょっと上体が前に突っ込んでいる。次は、そこで出てきた “違和感” 。右足の “ため” を意識しながら、左足の “踏み込み” を意識している。だから、段階は踏んでいるんですけど、その中でいろんな課題が出てくる。これと九里投手は向き合って、すごく充実したここまでのシーズンなんじゃないかなと、ぼくは思います。

石田アナ
その “違和感” がなくなったときというのが、九里投手、本当の完成形なのかもしれません。
(RCCテレビ「イマナマ!」カーチカチ!テレビ 5月8日放送より)