モスクワ・クレムリンへのドローン攻撃。ロシア側の「アメリカも関与した」との批判に対し、アメリカ政府は「一切関与していない」と説明。ウクライナのゼレンスキー大統領も関与を全面的に否定しています。筑波大学名誉教授・中村逸郎氏は、攻撃はウクライナでもロシアでもなく、「ロシアの民間軍事会社ワグネルによるものである可能性がある」と考察します。さらにワグネル創設者であるプリゴジン氏の“プーチン大統領への恨み”と今後の狙いについて解説します。
”冷や飯食わされた”プリゴジン氏 プーチン大統領に『恨み』が背景?

ロシアの中枢・クレムリンへのドローン攻撃が行われましたが、ウクライナによるものなのかロシアによる自作自演なのかというところなんですが、先生はどうお考えでしょうか?
「今回の攻撃はウクライナでもロシアでもなく、正規軍と一緒に軍事侵攻を続けているロシアの民間軍事会社ワグネルの関与しているのではないかと思います。。創設者のプリゴジンさんは、1990年代プーチン大統領と非常に仲良くなったんですねレストランの経営者で、プーチン氏の料理番と言われてる人なんですけども、そうした中で、プリゴジン氏はプーチン大統領のことをずっと恨んできたんですよ。いつか復讐してやろうと。なぜかと言うと1990年代にプーチン氏にはいっぱい友達がいたんですけども、その中で石油会社の経営者になったり、天然ガスの会社の経営者や銀行のオーナーになったりする人がいる中で、プリゴジン氏は軍隊のための食料を供給する、冷や飯を食わされたということで、いつかは絶対仕返しをしてやろうと、ずっとプリゴジンさん思ってたわけなんですね。特にプリゴジン氏はプーチン氏の仲間たちからも非常に冷たい目で見られていることへの屈辱感を持ってたわけなんですね」
「ワグネル消滅する運命なら、国内の出来損ないの官僚どものせい」

――ウクライナ侵攻に戦闘員を送り出してきたワグネル。死傷者数は3万人以上と言われています。プリゴジン氏は4月14日発表の声明で、「作戦終了を宣言するのが理想的」。そして4月29日公開のインタビューで、「ロシア軍が弾薬供給で協力しなければ、前線離脱」。そしてテレグラムでは「ワグネルが消滅する運命なら、国内の出来損ないの官僚どものせい」「必要な弾薬の3分の1も与えられていない」と発言がありました。今まで比較的積極的に軍事侵攻に関わっていたはずなんですが?
「なぜかというと、元々今回のウクライナへの軍事侵攻は正規軍だけでやってたんですね。ところが去年6月から、どうも正規軍が動いてない。動きが悪いというのでワグネルが参加したんですね。はい。そして最前線に送られたんです。そして屍の後、正規軍が入っていくということで、プリゴジンさんは非常に今回の作戦に参加して、そのことによって自分たちは非常に痛い目に遭っていると思ってるわけなんですね」














