この春、名古屋の公立高校で、服装の校則が変わりました。きっかけとなったのは、コロナ禍の生徒たちの思いでした。


名古屋市千種区の菊里高校。

1年生の教室をのぞいてみると、制服の生徒の隣で、私服の生徒がいます。

この高校では、今年度から、入学式や卒業式などの式典を除いて、制服か私服かを選べるようになりました。

(1年・私服の生徒)
「きょうは体育があって、着替えが楽なので私服にしました。家に帰ってから、すぐ元の生活に戻れるっていうのが楽ですね」

(1年・制服の生徒)
「中学の時セーラー服だったので、ブレザーも楽しみにしていたから。『高校生らしく制服でいよう』と思って制服で来ています!」

(記者)
「こちらは3年生のクラスですが、1年生よりも私服の生徒の割合が高いようです」

(3年・私服の生徒)
「温度調節がしやすくて過ごしやすいから。自転車登校なので、通学中とかは暑かったりするので」

(3年・部活のジャージを着る生徒)
「この後部活があるので、そのまま行きたいなと思って。持ってくる荷物が減るので、その分軽くなってすごく楽です」

中には、こんな生徒も…

(3年・制服の生徒)
「私服を決めるの結構めんどくさいなと思って。(私服の場合)毎日変えないと周りの目が気になるので。制服にすれば気にしなくていい」

この校則を導入したのは、「生徒たち自身」です。

(私服導入を働きかけた 3年・中村梛津さん)
「コロナに対する感染対策として、窓を開けなければいけなくなった。(制服だと)体温管理だったりが大変だったので…」

3年前、新型コロナの感染拡大によって、教室での換気が求められるようになりました。

制服の場合、体温調節が難しかったため、時季によって私服が認められました。

そうした中、生徒の代表が集まる生徒議会に、「継続的に私服を認めてほしい」という声が上がり、生徒たちが2年かけて、教師や保護者を説得し、実現したのです。


(私服導入を働きかけた 3年・中村梛津さん)
「僕の2個上の先輩から2年分の思いが詰まっていて、その成果を僕たちの代で形に出来たのは、本当に大きいことかなと思います」

(和田智之 生徒会顧問)
「愛知県は制服を昔から使っている学校が多いので、(私服の併用は)県内ではあまりない例なのかなと」

コロナ禍の生徒の思いは、学校の新たな日常を生み出しています。