進む認知症、施設に入るきっかけは…

施設に入る前に住んでいた富山市の自宅を訪ねました。片口さんの症状を心配した家族は、孫夫婦と同居してもらうことにしました。孫の妻はこう証言します。

片口さんの孫の妻:「散歩に行くのはいいんやけど2、3時間帰ってこん時が只々あって。心配はしてたんだけど」

認知症が進む中、こんな騒ぎもあったといいます。

片口さんの孫の妻:「ここ全体燃やしてしまってたん。草をどうにかせんと行けんと思いなんやろうね。周り見ずに」

自宅の裏にある自分の田んぼで草に火を放ったのです。いまは禁止されている「野焼き」…消防が出動する騒ぎになりました。

記者:「認知症が進んでいることは感じましたか?」
片口さんの孫の妻:「ちょっとは進んできているのは確かだった」

このまま放っておくわけにはいかない…それが施設に入居するきっかけだったといいます。

片口さんの次女:「みんな不安を抱えたまま生活することになるので、仕方ない、じゃあこの機会にちょっと施設に入ってもらおうと。ただ本人納得して入ってないんですよ。話し合いの場を持ってある程度納得した状態で入ってもらいたかったんですけど、その時間がなかったので。コロナが収まるまでって言って施設に入ってもらった」

消防が出動する騒ぎになって心配した家族は、片口さんと十分話し合いができないまま、施設に入ってもらうことになりました。しかし、その後、父親の片口さんは施設からたびたび外に出てしまい、行方不明になったといいます。