新たな「エースと4番」誕生へ
希望の光もある。
足のけがから1年ぶりに1軍のグラウンドに帰ってきた石川昂弥選手である。
立浪監督は、4月14日の讀賣ジャイアンツ戦から、復帰早々の石川選手を「4番・サード」でスタメン起用した。
この試合から、不思議に打線は落ち着き、チーム全体も落ち着いた印象だ。勝ち方も良くなった。
4月20日の神宮球場で、石川選手がバックスクリーンに放った今季第1号のホームラン。
軽く振り抜いただけに見える打球の弾道は、石川選手がやはり“ただものではない”と見せつける当たりだった。
チーム上昇への“号砲”となってくれればいいと願う。
投げる方では、エース大野雄大投手が左ひじの手術のためマウンドを離れた。
しかし、開幕投手として145球の熱投を見せた小笠原慎之介投手、WBC“最年少侍”髙橋宏斗投手が、力強い投球を続けている。
新たな「エースと4番」、これが確立できていけば、2023年の立浪ドラゴンズが、ようやく本格的に始動することになるはずだ。

近づくゴールデンウイーク、球場へ応援に駆けつける竜党も多い。ペナントレース開幕を前にして、立浪監督は選手たちに対して「ピンチでもチャンスでも、強い気持ちで」と檄を飛ばした。
「強い気持ちで」その言葉をどんな試合でも忘れてほしくない。
同時に、2年目の立浪ドラゴンズに注がれるファンの視線には、1年目とは違う厳しさがこもっていることも、どうか忘れずに戦ってほしい。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。