圧倒的な吸水力 浅野撚糸の“魔法の糸”

今回、双葉町に工場を設けた浅野撚糸は、岐阜県に本社を置く企業です。創業は1969年でおよそ54年の歴史があり、糸をねじりあわせつくる「撚糸」を製造しています。

なぜ浅野撚糸が福島に工場を設けたかというと、社長の浅野雅己さんは、当時の福島大学教育学部を卒業していて、福島の復興を支えたいと今回、双葉町に工場を設けました。

そして、この工場で作られるのが、浅野撚糸が5年の歳月をかけ開発した魔法の糸「スーパーゼロ」です。その最大の特徴は、優れた吸水性にありました。

左側が一般的な糸で、右側が浅野撚糸が開発した「スーパーゼロ」です。普通の糸は着色した水につけても染み込む様子などはありません。

左が一般的な糸、右がスーパーゼロ

しかし「スーパーゼロ」だと・・・糸がどんどん水を吸い上げます。重力に逆らい、水がどんどん上へ上へと吸い上げられ、5分後に水が全てなくなりました。

「スーパーゼロ」は水をすべて吸い上げた

これは、糸の中に普通の撚糸より多くの空気を含ませることでこの吸水力を実現しているんです。

浅野社長は、双葉町に雇用、そして交流の場を設けたいと話していました。双葉町では去年8月、一部の地域で避難指示され、11年半ぶりに人が住むことができるようになりました。しかし、現在、住んでいる人は浅野撚糸の従業員も含むおよそ60人となっています。震災前は7000人あまりが居住していたので、まだまだ人が戻って来ていない状態です。

ただ、双葉町では、企業の誘致を進めていて、浅野撚糸のように衣料品や電子部品の工場など4つの企業が、これから操業する予定です。