軍と準軍事組織の激しい衝突が続いているアフリカ北東部スーダンでは、これまでに330人以上が死亡、7割近くの病院が砲撃などの影響で閉鎖したことが分かりました。

首都ハルツームで19日に撮影したとされる大学病院の中の映像です。建物の中は人影がなく、いたるところには血の跡が。医療器具も散乱し、床に放置されているのは布で覆われた遺体とみられます。

スーダンでは、軍と準軍事組織「RSF」の衝突が激化していて、WHO=世界保健機関によりますと、これまでに少なくとも330人が死亡し、3200人がけがをしたということです。

全米公共ラジオは、アメリカにあるスーダン人医師協会の話として、ハルツームにある59の病院のうち、7割近くにあたる39か所が砲撃などの影響で閉鎖していて、市民の医療インフラが壊滅的な打撃を受けていると報じています。

AP通信が配信した市内の映像には、路上に放置された遺体の様子も映し出されていました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラの取材に応じたRSFのトップは、イスラム教の断食明けの祝祭イードを迎える21日以降、数日間停戦する準備があると述べた一方で、「国軍は犯罪者」だとして交渉に応じるつもりはないことも明らかにしました。

軍のトップもアルジャジーラの取材に対して、「RSFはスーダンの秩序を崩壊させ、スーダン人の家を襲っている」「軍事的解決以外の選択肢はない」と交渉を拒否。両者の対立は深まっています。

市民の国外退避も始まっています。UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、戦闘を逃れようと、1万人から2万人が隣国チャドに入ったということです。チャドはすでに、2003年に始まったダルフール紛争の影響で、これまでに40万人の難民を受け入れています。

今後、難民の数がさらに拡大すれば、チャドのみならず、周辺国に混乱が拡大することは必至です。