まわし姿でぶつかり稽古をするのは弘前大学相撲部。2022年12月、それまでの愛好会から大学初の相撲部に昇格。今年度から“大学日本一”を目標に本格的に活動を始めました。土俵に青春をかける姿を取材しました。

激しくぶつかり合う音が響く弘前実業高校の相撲道場。4人の高校生に交じって稽古に取り組んでいるのが…弘前大学相撲部の2人の部員です。

熱気に包まれる土俵

178センチ、115キロとひときわ体格の良い駒木英剛(こまき・えいごう)さんは厳しい稽古の最中もこの笑顔。仲間と土俵に立つ喜びをかみしめています。

笑顔がこぼれる駒木さん

※弘前大学相撲部 駒木英剛さん(2年)
「いつも一人で稽古していたので対戦するときの力もわかるのでうれしいです」

取材中、相撲ができるうれしさを笑顔で語る駒木さん

2022年、五所川原農林高校から弘前大学に進学した駒木さん。入学後に「愛好会」を立ち上げて1人で活動を続け、相撲への熱い思いで、大学との交渉を重ね、去年12月、弘前大学初の相撲部を誕生させました。

高校時代には全国大会にも出場。大学でも競技を続ける意欲を持ちながら、競技環境が決して恵まれてはいない地元で相撲を取る道を選びました。

※弘前大学相撲部 駒木英剛さん
「昔は青森県自体が相撲人口がとても多くて盛んだった。子どもたちも減って相撲もやる人も減った。僕が県内に残って相撲をやる若い人が増えればいいなと思った」

五農高校時代の駒木さん 今よりも細かった

ー土俵外でも精力的に活動する駒木さんー

※キャンパスで部員勧誘をする駒木英剛選手
「弘前大学相撲部です。部員・マネジャー募集中です。ちゃんこ食べ放題です。応援よろしくお願いします」

新入学シーズン 部員勧誘をする駒木さん

新入学シーズン、駒木さんはメガホンを片手に大学構内で学生たちにチラシを配っています。

※駒木さん「相撲部です」
 勧誘された新入生「僕みたいな細い子でも?」
 駒木さん「大丈夫です。入ってからでも鍛えられる」

声かけは留学生にも…

※駒木さん「アイム 相撲プレイヤー」
※留学生「相撲プレーヤー?」「ohかっこいい」

※新入生は
「僕は新1年生です。向いてそうな体格の子の友達ができたら勧めようと思います」

相撲部のためにひたむきに取り組む姿勢は同学年の学生の間でも話題となっています。

駒木さんが配っている相撲部の勧誘チラシには「シコふんじゃおう!」

※同学年の学生は
「僕らが回しつけて英剛と稽古したら死んでしまう」
「めちゃくちゃ有名です」
「最初の方から頑張っていて尊敬できる存在」

駒木さんの高校時代の実績やこうした勧誘活動などが実を結び、「部員5人以上」という大学が定めた部活動になる条件をクリア。大学には道場がありませんが、県内相撲関係者のつながりもあり弘前実業高校の高橋道尊(たかはし・みちたか)監督も協力。現在は選手4人、マネジャー3人の7人で活動しています。

この日の稽古では新入部員の鳥山蒼介(とりやま・そうすけ)さんが初めて回しをつけました。

※鳥山蒼介さん「英剛くんに誘われて押しに負けた感じです」
 記者「ちゃんこにつられた?」
 笑いながら鳥山蒼介さん「そういうわけではないです」

柔道部にも籍を置く鳥山さんを熱意で押し切った駒木さんは手本を見せながら相撲の楽しさを教えています。

※弘前大学相撲部 駒木英剛さん
「相撲はきついとか苦しいとか思われるけどまずは楽しむ。四股を踏むだけでもいいので相撲に触れてほしい気持ちがあった」

まずは相撲を楽しんでもらいたいと語る駒木さん

新入部員のデビュー戦でもあり、悲願の「団体」で出場する5月の全国国公立大学相撲大会に向け稽古を重ねる相撲部。駒木さんには在学中に成し遂げたい夢があります。

青春は土俵の上

※弘前大学相撲部・駒木英剛さん
「僕の最終的な目標は弘大相撲部を日本一に導くこと。相撲をする若い人が増えればいいなと思って活動しています」

日本一に向けて待ったなしー。弘大相撲部の歴史が動き出しました。