目の不自由な人の生活に欠かすことができないのが盲導犬の存在です。長引くコロナ禍で盲導犬と生活する視覚障がい者を取り巻く環境も大きく変わり、戸惑っています。
押野まゆさん。病気で視力を失いました。生活をするうえで、盲導犬は欠かせないパートナーです。盲導犬ユーザーはいま、コロナ禍で生活様式が大きく変わったことに戸惑っています。
<記者>
「消毒液は持ち歩いている?」
<押野まゆさん>
「入口のどの辺りに消毒液があるのか分からないので自分で持ち歩いているものを使うことが多い」
いまでは、当たり前のように店先に置いている消毒液も、目が不自由な人にはどこにあるのかわかりません。
<押野まゆさん>
「サラダのところお願いします」
こちらのコンビニは押野さんの行きつけの店。店員の対応もスムーズです。それでも…。
<押野まゆさん>
「タッチはどこですか?」
<レジの音声>
「タッチ音がなるまで、電子マネーをタッチして下さい」
<押野まゆさん>
「コロナ禍になってから、買い物がどういう風に変わっているか、なかなか分からないので、新規で新しい店というのが勇気がでなくて行けていない」
ついには、外出に不安を感じ、家にこもりがちなユーザーも増えているといいます。
さらにコロナ禍が、思わぬ影響を与えています。盲導犬の同伴受け入れを拒否されるケースが増えているのです。
日本盲導犬協会によると2021年度、協会が対応した受け入れ拒否は37件。ただ、この数も氷山の一角に過ぎません。最も多かったのが医療機関でした。
<押野まゆさん>
「飲食店や医療機関だと、どうしてもコロナが心配だということで、私の知り合いも断られてしまったという話を聞くし、私も何度かそういった経験もある」
盲導犬は法律で不特定多数の人が利用する店舗などへの同伴が認められています。法律ができて20年。その周知が進んでいない現実がありました。
日本盲導犬協会では、盲導犬について理解を深めてもらうための活動を行っています。
<見学者>
「気をつけなければいけないことなど、全く知らなかったので、それは凄く勉強になった」
<記者>
「実物を見てどうだった?」
<見学者>
「やはり、こう見るのと見ないのでは全く変わる」
しかし…。
<天野大輔記者>
「ただいまこちらでは、盲導犬のデモンストレーションが行われていますが、見学者は3人だけです」
<日本盲導犬協会 広報・コミュニケーション部 村野巧実さん>
「ゴールデンウィークや夏休みなどの繁忙期は、こちらの会場が埋まってしまうほどのお客さんがいたが、コロナになってからは密になってしまうということもあって、数が少なくなってしまっている」
2021年度、富士ハーネスを訪れた人は約6700人。コロナ禍前の3分の1まで減りました。協会ではオンラインのセミナーを開くなど、なんとか盲導犬やユーザーを取り巻く環境を変えようとしています。
<日本盲導犬協会 村野巧実さん>
「『こんにちは』だけでもいいので、声をかけていただかないと、そこに人がいることが分からないので、あいさつから気軽に始めてもらえれば」
こんな時代だからこそ、誰もが自由に暮らせる社会にするため、私たちができることを見つめ直す必要があります。
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