中国で反スパイ法が施行されて以降、これまでに拘束された日本人は17人。情報開示請求から10か月経ってようやく開示された200枚以上の“解放交渉文書”を読み解くと「早期解放」のカギが見えてきました。

「早期解放はなかった…」中国“邦人拘束”

たびたび報じられる、中国当局による日本人拘束のニュース。

中国政府は2014年に反スパイ法を施行。2015年以降、スパイ行為に関わったとして拘束された日本人は、少なくとも17人にのぼります。

その中には大学教授や大手商社の社員。それに、上海で拘束された女性もいます。そして、2023年3月、アステラス製薬の幹部社員が拘束されました。17人のうち中国で実刑判決を言い渡されたのは10人。

その中の一人が、日中交流団体の理事長だった鈴木英司氏。懲役6年の実刑判決を受け、刑期を満了し帰国しましたが、体重が30キロ近く落ちたといいます。鈴木氏のどのような行為が罪に問われたのでしょうか。

中国で拘束され懲役6年の判決を受けた鈴木英司氏
「私がある食事の席で、朝鮮問題について話しました。そのこと自体が国(中国)の基準から見た情報に値するということで、結局起訴され、最終的に(懲役)6年という判決が下りた」

中国外交部の高官との会食の際、既に日本で報じられている北朝鮮の話題を出したことなどが「スパイ罪」に問われたのだといいます。

服役中など現在も拘束されている日本人は5人。いずれも、何が「スパイ行為」とされているのか、中国政府は明らかにしていません。

林芳正 外務大臣(4月2日)
「当該邦人の早期解放を含めて、我が国の厳正な立場を強く申し入れた」

日本人が拘束される度に早期解放を求めている日本政府。鈴木氏が拘束された際にも、申し入れが行われていました。しかし…

鈴木英司 氏
「私は日本大使館には大変感謝している。生活の問題とかいろいろ努力してくれた。しかし私たちを解放するために何をしてくれたか、結果的には何もなかった」

結局、鈴木氏は早期解放されることなく、2022年、刑期満了で帰国しました。