日銀の黒田東彦総裁が8日に任期を終えます。「物価が持続的に下落するという意味でのデフレではない」最後の会見も強気な発言で終えた黒田総裁ですが、植田和男新総裁に代わることで何が変わるのでしょうか。
相次ぐ値上げ新総裁に求められるものとは

日比麻音子キャスター:
物価の番人ともいえる日本銀行ですが、この総裁についてです。これまでは異次元の金融緩和を掲げてきた黒田東彦総裁でしたけれども、今後は戦後初の学者出身である植田和男新総裁へということになります。この先について、TBSテレビ経済部片山デスクの指摘によれば、「限界を迎えた“黒田路線”を緩やかに方向転換するのでは」とみています。その背景として、値上げが続いていますよね。

<食品の値上げ>
4月→5106品目
5月→778品目
6月→2390品目
どうしてもこの値上げのニュースが続くと気持ちが下向きになりがちなんですが、みずほリサーチ&テクノロジーズ経済調査チームの酒井才介さんによると、「夏までは企業にとって必要な価格転嫁が続くだろう」とみています。ただ、4月から給料がアップしている企業もポチポチと見えてきていますので、給料アップの効果が秋頃には出てくるのではないか。この値上げと実際の差が、もう少し負担が軽くなっていくのではないかと酒井さんはみています。しばらく、春と夏は辛抱といったところですかね。
井上貴博キャスター:
世界的に見るとその流れになってるわけで。もちろん黒田総裁について失業率が減った、負のスパイラルから脱するきっかけを作れたと経済界で評価する声ももちろんある。マイナスとしては、ただ金利を安くしたからといって、そんなにお金は回らない。むしろ膠着化してますよねっていうデメリットを指摘する声もある。総裁と言ってもなかなか生活でピンと来にくいところですけど、どんなことを感じてらっしゃる?

ノンフィクションライター吉川ばんびさん:
私が思ったのは止まらない財政悪化はどう説明するんだろうと。黒田総裁の10年間を振り返ってみると、一時的な大企業の収益自体の増大はあったものの、その後打ち出した場当たり的な緩和策などによって止まらない円安と物価高の連鎖が続き、経済の底上げには至らなかったっていう部分がやっぱりあるじゃないですか。そこについて言及をして欲しかったなっていうのはもちろんあって。
次、植田新総裁に変わるときに黒田総裁の緩和策について、まずは検証するっていうことを聞いてますので。しっかりと検証した上で、同じ道を踏まないような形でどうにか財政を良くしていっていただきたいという願いを込めて、考えております。
井上キャスター:
確かに表に出てきている株価っていうのは、数字は上がったかもしれない。でもそれは一部の大企業だけで、それが実感としては。
ノンフィクションライター吉川さん:
市政の暮らしに反映されているかというと実際はそうではないのではないかと私は実感として感じてますね。