名古屋の入管施設で2021年に死亡した、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時 33)。遺族らが亡くなる直前の様子が記録された監視カメラの映像の一部を公開しました。「姉のような犠牲者をもう出さないでほしい」。映像を公開した遺族は強く訴えています。

「息できない…」「私、きょう夜、死ぬ」必死の訴え届かず

2021年2月23日、カメラはベッドに横たわるスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)と、その傍らにいる入管職員の様子を記録していました。

【2021年2月23日の映像(弁護団公開)】
ウィシュマさん
「吐く、私自分でできない」
入管職員「あー、バケツ?」

ウィシュマさん「私、きょう夜、死ぬ」
入管職員「死ぬ?大丈夫、死なないよ。サンダマリさん死んだら困るもん」

この会話の11日後、ウィシュマさんは亡くなりました。
遺族側は4月6日、国側から開示された入管の監視カメラ映像の一部を公開しました。

ウィシュマさんは日本の子どもに英語を教えるため、2017年に来日。その後、留学ビザを失効した後も日本に居続けたため、2020年8月に入管施設に収容されました。そして、7か月後の2021年3月に死亡しました。

姉の死の真相を求め、 2人の妹が2021年5月に来日。
遺族側は国に対して収容中に撮影された“監視カメラ映像の全て”を開示するよう要求。しかし、当初は保安上の理由から断られました。

2022年、遺族側は国に賠償を求める裁判を起こします。その中でようやく映像が開示されたのです。

【2021年2月23日の映像(弁護団公開)】

ウィシュマさん「担当さん、病院の点滴、お願い」
入管職員「なんで病院行きたいの?」
ウィシュマさん「もうできない…」
入管職員「わかったわかった」

ウィシュマさん「もう、できない…」
入管職員「何できないの?」
ウィシュマさん「息もできない…」

入管職員「病院に行けるようにボスにお話しするけど、今日行けるかどうか分からないから!」
ウィシュマさん「担当さん、今やってあげて」
入管職員「連れて行ってあげたいけど、 私の力じゃ、私パワーないからできない。権力ないからさ。私に決定するのできないんだよ」

ウィシュマさん「お願い…」

結局、一度も点滴が打たれることはありませんでした。
調査報告書によると、入管職員はウィシュマさんの一連の訴えを「仮放免に向けた誇張やアピール」と受け止めていたといいます。

そして、映像にはウィシュマさんの最期の様子も…