6日に開幕するゴルフ世界最高峰の舞台「マスターズ」。昨シーズン、国内ツアーで4勝を挙げ、初の賞金王の座に就いた比嘉一貴(27)が初のオーガスタに挑む。比嘉は年度末時点での世界ランクが68位で、マスターズ出場資格に届く50位以内には入れなかったが、マスターズ委員会は「出場にふさわしい才能を発揮した」と特別招待を決定。同じ沖縄出身で2018年大会に出場した宮里優作プロ(42)が大会直前の比嘉にマスターズへの思いを聞いた。
招待状が来る前にオーガスト委員会と面談
宮里プロ:
普段、一貴って呼んでるけど、比嘉選手でいきますんで。
比嘉プロ:
え!本当ですか、一貴の方が嬉しんですけど(笑)
宮里プロ:
ちょっとむず痒いかも(笑)
和気あいあいとした雰囲気で始まったインタビュー。比嘉は宮里の父、優さんから指導を受けたことがあり、宮里家とは深い縁がある。
ゴルフを始めた頃から自宅の練習場で1日3000球以上を打ちこむなど努力を惜しまなかった比嘉は、身長158cmと小柄だが、絶対的な自信を持つ距離感と正確なショットで、昨シーズン、初めて賞金王に立った。
宮里プロ:
マスターズの招待の連絡をもらったときの気持ちを聞かせてください。
比嘉プロ:
他の選手とちょっとルートが違うと思うんですけど、招待状が来るっていう通知の前にオーガスタ委員会の方とリモートで面会することがあって。それが最初、年明けすぐにあったんですけど、そういうこともあって少し、招待を受けられるのかなっていう、ちょっと期待をしながら、そのリモートに参加したので。ハガキが届いたっていう感動よりは、そっちでなんか知ってしまったみたいな。
宮里プロ:
なるほど~。
比嘉プロ:
出場資格が発生します、招待を受けますか?って言う「イエス」か「ノー」かの回答だったんですけど。
宮里プロ:
それはすごい面接というか、初めて聞きましたね。普通は招待状が届いてわーっていう感じになると思うんだけど。実際そのハガキが届いたときはどんな感じでした?
比嘉プロ:
ハガキが届いた日、僕は海外に試合に行っちゃってて「届いたよ」っていう連絡は受けて。(見たのが)帰ってきてからなので、でもやっぱり目の当たりにすると、しっかりしたいい素材の紙の招待状じゃないですか。英語で書いてあるんで、ちょっとよくわからないですけど、すごい貫禄があるというか、ただの紙といえば紙なんですけど、すごい特別なものでした(笑)
今まではテレビの向こう側の世界だった「マスターズ」
宮里プロ:
比嘉選手にとって、マスターズはどんな舞台でしょうか?
比嘉プロ:
今まではテレビの向こう側の世界であって。いつしか憧れていたマスターズっていうのが自分が出たい目標になって、出場できるっていう目標が叶ったので、そこでプレーするっていうことが、他のメジャーに比べれば特別な場所だと思うので、ほんと挑戦なんですけど、その中でもたくさん吸収できたらいいなって思いますね、ワクワクしてます。
宮里プロ:
大先輩のマスターズチャンピオン、松山英樹選手はどんな存在ですか?
比嘉プロ:
追いかけても追いかけても離れていってしまうような存在ですかね。大学時代から松山さんと一緒に練習する機会だったり、色々と恵まれた環境ですることができたんですけど、この人と戦えることは、やっぱり非常に考えさせられる(そんな)存在ですかね。一緒にやればやるほど、そういう風に思います。
宮里プロ:
マスターズ出場が決まってから松山選手に連絡はされたんですか?
比嘉プロ:
もう、すぐしました、「練習ラウンドお願いします」って。
宮里プロ:
おんなじことしてる、俺も(笑)
比嘉プロ:
「教えてください」って。
宮里プロ:
松山選手からアドバイスや、喋った時に何か印象に残っている言葉だったり、そういうのはあったりしましたか?
比嘉プロ:
松山さんが言ってることはわかるんですけど、コースのイメージが全く僕はわからなくて、できなかった。グリーンのアンジュレーションの強さだったりっていうのは全く僕が経験したことないことが、そこにあると思うので、そこは一応聞いたんですけど、しっかり現地で聞けたら良いなと思ってます。
宮里プロ:
練習ラウンドはびっちり松山くんに張り付いていろんなことを教わってほしいなと思います。最後にマスターズへの意気込みと具体的な目標を聞かせて下さい。
比嘉プロ:
優勝って言いたいところなんですけど、週末、テレビに映るところで活躍できたらいいなと思ってます。この小さい体でどこまで奮闘できるかっていうところはジュニアに関わらず、ジュニアも含めいろんな方々に影響が与えられるように活躍できれば良いなと。ワクワクだったり楽しみな面と、ちょっとちゃんとしっかりできるのかなって不安な面と半々くらいなんですけど、今できる準備をしっかりして、今できる最高のパフォーマンスをそこでできたらなと思ってます。その、夢舞台に行けたことだけに満足せずに、しっかり結果を出すことを目指してたくさんテレビに映る位置で週末、プレーすることを目指して頑張ります。
■比嘉一貴(ひが・かずき)
1995年04月23日生まれ、身長158cm、67kg。沖縄出身、東北福祉大学卒業。10歳からゴルフを始める。アマチュア時代の主な戦績、日本OPローアマ、日本アマ2位、日本学生2位。
2017年にプロ転向。国内では2019年にKBCオーガスタで大会新の26アンダーで初優勝。2022年4勝で初の賞金王(関西オープンゴルフ選手権、BMW日本ゴルフツアー選手権、Shinhan Donghae Open、ダンロップフェニックストーナメント)