東京五輪快挙のウラにあったドラマ
そもそも「陸上女子1500m」という競技は、1972年に正式種目になってから田中選手が出場するまで、日本人では誰も出場したことがなかったほど“世界との差が大きかった種目”。日本の女子選手が中距離種目で入賞したのも1928年以来93年ぶりで、田中選手の功績は歴史的な快挙といえるものです。

実は“家族全員がランナー”という陸上一家で生まれ育った田中選手。大学進学以降は、陸上部などに所属せず、元実業団の中距離ランナーの父・健智さんをコーチとして指導を受けています。

コーチを引き受けた父・健智さんも、その意思を汲んで覚悟を決め、世界と戦える“独自の練習”に取り組むようになったそう。その一つが「変化走」です。

中長距離のトラック種目では、レース中、つねに激しい駆け引きが行われているそう。
田中選手は過去に出場した世界陸上を振り返りつつ、「同じくらいの力の人を相手にした時に(駆け引きで)負けるなら、自分が一つ上の選手になるしかない。変化走などに取り組んだことで一段 力が上がった」と語ります。
父娘のこれから
変化走による練習の成果が、しっかりと発揮された東京五輪。とくに陸上女子1500mの準決勝の際には、自身が持つ日本記録を更新し、種目において日本女子初の3分台のタイムを叩き出しました。この経験からの気づきとして「入賞っていう結果自体は出すことができたので、もっと上の次元で戦いたいってすごく思うきっかけになった」と田中選手はいいます。

コーチとして練習を見守る父・健智さんいわく「(将来的に世界のトップと)競っているところを見せることができたらいいよねということが(自分と娘の)目標」とのこと。

(「バース・デイ」4月30日放送分より)