2021年 東京五輪の陸上女子1500m決勝に出場し、見事8位に入賞した田中希実選手。“陸上中距離のエース”ともいわれる田中選手の、強さのヒミツに迫りました。

東京五輪快挙のウラにあったドラマ

そもそも「陸上女子1500m」という競技は、1972年に正式種目になってから田中選手が出場するまで、日本人では誰も出場したことがなかったほど“世界との差が大きかった種目”。

日本の女子選手が中距離種目で入賞したのも1928年以来93年ぶりで、田中選手の功績は歴史的な快挙といえるものです。
その強さの秘密は、“家族”と“独自の練習”にあります。

実は“家族全員がランナー”という陸上一家で生まれ育った田中選手。大学進学以降は、陸上部などに所属せず、元実業団の中距離ランナーの父・健智さんをコーチとして指導を受けています。
話によると、「父の感性は日本の指導者にないところがあると思っている。中学・高校時代も、父が練習をみていたわけではないけど、時々してくれるアドバイスのおかげで助けられたことが何回もあった」とのこと。

コーチを引き受けた父・健智さんも、その意思を汲んで覚悟を決め、世界と戦える“独自の練習”に取り組むようになったそう。その一つが「変化走」です。
走るペースを何度もアップダウンさせるこの練習は、一定のペースで走る一般的な練習よりも負担がかかる代わりに、自分の力の底上げをできるといいます。

中長距離のトラック種目では、レース中、つねに激しい駆け引きが行われているそう。
田中選手は過去に出場した世界陸上を振り返りつつ、「同じくらいの力の人を相手にした時に(駆け引きで)負けるなら、自分が一つ上の選手になるしかない。変化走などに取り組んだことで一段 力が上がった」と語ります。


父娘のこれから

変化走による練習の成果が、しっかりと発揮された東京五輪。とくに陸上女子1500mの準決勝の際には、自身が持つ日本記録を更新し、種目において日本女子初の3分台のタイムを叩き出しました。

この経験からの気づきとして「入賞っていう結果自体は出すことができたので、もっと上の次元で戦いたいってすごく思うきっかけになった」と田中選手はいいます。
父と共に練習を続ける中で、2024年のパリ五輪でのメダル獲得を目指しています。

コーチとして練習を見守る父・健智さんいわく「(将来的に世界のトップと)競っているところを見せることができたらいいよねということが(自分と娘の)目標」とのこと。
親子で力を合わせて走る田中希実選手、今後のさらなる活躍が楽しみですね。

(「バース・デイ」4月30日放送分より)