ロシアが隣国のベラルーシに核兵器を配備すると発表しました。これを正当化するプーチン大統領が、その口実に使ったのが、アメリカが同盟国の領土内に核兵器を配備している「核シェアリング」とうい仕組みです。日本でも安倍元首相らが「議論の必要性」を主張した、この“核兵器の共有”政策。どんなものなのか、そして今、核の脅威は世界でどこまで広がっているのか、手作り解説でお伝えします。
ベラルーシに核を置くロシアの言い分
3月25日、ベラルーシに核兵器を配備すると表明したプーチン大統領はこう言っています。「アメリカは何十年も前から核兵器を同盟諸国に配備している」これはどういうことでしょうか?

世界の核兵器の分布
現状、世界にはこれだけの核兵器があります。保有している国ですが、国連安保理の常任理事国でもある5か国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の他、イスラエル、パキスタン、インド、北朝鮮にも広がっています。

そして実は、これら“核保有国”以外にも核兵器は配備されているんです。それが、アメリカとNATO加盟国の「核シェアリング(共有)」と呼ばれる仕組み。ドイツ、オランダ、ベルギー、イタリア、トルコには、アメリカが管理する核兵器が配備されていて、有事の際に、NATOやアメリカが判断したうえで、それぞれの国の軍が使用することになっています。ロシアはこの「核シェアリング」の仕組みを持ち出し、自分たちも同盟国ベラルーシで同じことをやるのだと正当化したのです。

核シェアリングの始まり・そして日本でも…
アメリカの「核シェアリング」が始まったのは1950年代。NATO加盟のヨーロッパ諸国では、旧ソ連と核戦争になった場合、「アメリカは同盟国のために本当に核を使ってくれるのか」と不安が高まったため、アメリカの核兵器をそうした国々に配備して使える体制をとったのです。
