東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、福島県浪江町の復興拠点で、31日午前10時に避難指示が解除されました。
避難指示が解除されたのは、浪江町の室原・末森・津島・大堀の一部の地区の「特定復興再生拠点区域」です。
解除された地区では、879人が住民登録していますが、宿泊しながら帰還の準備を進める「準備宿泊」を利用したのは、22人に留まっています。また、解除後も町の面積の8割は、帰還困難区域として残ります。
町に戻った女性「ずっと待っていた」
避難指示が解除された津島地区に戻り、住み始める女性がいます。女性は「12年ぶりに故郷に近づいた」と話しました。
防災無線「避難指示が解除されたことをお知らせいたします」
石井絹江さん「涙が出てくる。本当に良かった。待ってたんでね、ずっと。ようやく津島に戻れると思ったら、もう嬉しくて」
避難指示解除に涙を流し、喜ぶ石井絹江さん(71)。石井さんは、浪江町赤宇木地区の自宅に住んでいましたが、震災後、福島市に避難していました。
式典が終わり、石井さんが向かったのは、避難指示が31日に解除された津島地区にできた新しい住宅団地です。石井さんは、きょうからここに住むことを決めました。
石井さん「赤宇木に戻る日まで、ここで1つ1つクリアしていきたいと思う」
石井さんの自宅は、まだ避難指示が解除されていない赤宇木地区にあります。赤宇木地区は「特定復興再生拠点区域」に指定されていない、いわゆる「拠点外」の地域で、政府は2020年代に希望者の帰還を進めるとしていますが、戻れる見通しはまだたっていません。
それでも、石井さんは故郷のすぐそばまで戻れたことに、希望を見出します。
石井絹江さん「ここから5~10分で(自宅に)行けるので、いつでも天気予報を見ながら通いたいなと思っている。それが楽しみ」