沖縄ハンドボール界をけん引する二人の兄弟対談です。琉球コラソンのキャプテン・兄の東江太輝(あがりえ・たいき)選手と日本代表のキャプテン・弟の東江雄斗(あがりえ・ゆうと)選手。試合で見せる兄弟対決とは少し違う表情を見せてくれました。


Qお互い、手の内は全部知っている? 
雄斗「どうですかね~(笑)」
太輝「手の内がわかっていても止められないっていうのが、一流のハンドボール選手だから。こんなプレーしてくるっていうのはわかるんですよ、もう何年も前から」 
雄斗「ありますよ、兄弟対決で絶対兄貴が絶対下から打ってくるってわかって手を出しても、さらにその下から打たれて決められたりもありますしハハハ、手の内を知っていても今は関係ないですね」

(左)兄・東江太輝 (右)弟・東江雄斗 シューズは…


琉球コラソンのキャプテン、兄・東江太輝。
ジークスター東京所属、日本代表のキャプテン、弟・東江雄斗。
沖縄ハンドボール界をけん引する東江兄弟実は二人、チームは違えど、おそろいのシューズでプレーしています。

太輝「おそろいにしようってことではないですよ(笑)」
雄斗「でも僕の真似をしているとは思っているんですよ(笑)」

ハンドボール選手だった両親の影響で幼いころからそばにあったハンドボール。
弟・雄斗の東京オリンピック出場が決まった時、父・正作さんは「今日本人が世界のトップレベルでやっている人がいない。その先駆者として世界で大活躍してほしい。本場ヨーロッパで、そう思っています」と語りました。

日本代表キャプテン 弟・東江雄斗選手

Q父は海外に行ってほしいと
雄斗:言ってましたね(笑)」 
太輝「親父は海外への憧れはあると思うので」
雄斗「オファーとか正直あるんですよ、あるけど、なかなか踏み出せないですよね。踏み出せない理由としては、僕って日本リーグに入ってまだ優勝したことないんです。勝たせる選手になり切れていないので、やっぱそこで踏みとどまっているというか、海外に行くよりも、国内でチームを優勝させたいって気持ちが強いのが理由の一つにあるかもしれないですね」

所属チームで日本一をめざす。でもそんな弟へ、兄から一つ苦言。

太輝「ジークスター行って、昔ほど目立たなくなったの分かります?もうちょいやった方がいいと思うけど、どう思いますか?」
雄斗「まあ、そうですね(笑)」

実は昨シーズン、久しぶりに個人タイトル無冠に終わった雄斗。

雄斗「(五輪の)疲れというよりは、単純に自分が甘かったんじゃないかと思います。早く今はなんとかしないといけないって気持ちになっているんですけど、それを無意識的に勝手に行動に移せるようにしていきたいので、日頃の練習から積み重ねていきたいですね」

一方、これまでの指導実績が買われ今週父・正作さんのコラソンの監督就任が発表されました。兄・太輝は例年にない心境で新シーズンにのぞみます。

琉球コラソンの主将 兄・東江太輝選手

太輝「実は僕は監督と子どもって立場で試合したことないんですよ。僕が中学生の時はアンダー世代の代表監督で、僕のいる中学校を指揮できなかったので」
雄斗「だから後悔はずっとあったと思います、親父的にも、兄貴の指導ができなかったじゃないけど、俺が見ていればってどこかで思っている部分はあると思うので
太輝「(今年で)33歳ですからね、もうハハハ、今からかなあ?って(笑)」
 
太輝「一番は親と子でやるっていう話題はあるんですけど、ここで失敗できないって思っていますね。親子でやって、キャプテンだし俺も。(周囲は)大丈夫なの?ってことの方が大半だと思うので、しっかりそこを見返せるように、今シーズンはやらないとなって」

Q父&兄との対戦も
雄斗「初めてですからね、めちゃめちゃ楽しみな部分はありますけど。ライバルチームとしてはものを言わせず叩きたいと思います」

ゴールデンウイーク、初めて東江兄弟主催のハンドボール教室を開いた2人。
東江ブラザーズ=ABROS.(アブロス)のTシャツを作成しその売り上げで教室を開催しました。

太輝「このTシャツもそうだけど、自分で何かしなきゃと思うからやったし、子どもたちに対して何かしなきゃと思っているから僕ができることはやるし」
雄斗「育ってきた沖縄のために恩返しするっていうところにたどり着いて。子どもたちには夢を与えないといけない存在では僕らはあるので」

子どもたちはー
「(東江兄弟は)浦添市の誇りです」
「東江兄弟みたいになって世界でも活躍できる選手になりたい」

雄斗「今後東江ブラザーズのTシャツをどこまで持っていく?」
太輝「Tシャツは始まりなので。一番はスポーツクラブ。地域に根付いたクラブチームみたいな感じで。それがアブロスで出来たら一番理想かなと思います」

沖縄ハンドボール界のためタッグを組んで活動を進める東江兄弟。

太輝「雄斗たちとシーズン中も戦いますけど、プレーオフで兄弟対決を実現できたら一番いいと思っているので、そこを目指して頑張りたいと思います」

雄斗「最大目標は日本一、そこでMVPを獲れたらいいなと思いますし。無我夢中でハンドボールをやりたい、無意識にハンドボールを楽しみたい」

ハンドボールを楽しむことで子どもたちへ、その魅力を伝える2人の活動はこれからも続いていきます。

【記者MEMO】
試合の時とはまた違う仲の良さを見せてくれた東江兄弟ですが今シーズンは親子対決にも注目が集まります。
沖縄ハンドボール界を盛り上げていきたいと語る2人の新たなシーズンは7月に開幕します。