◇◇牙を剥いたダム

しかしあの日。
平穏を信じて暮らす人々に、牙を剥いたのです。

戦後最悪の水害を受け、ダムの能力向上に合わせて河川の改修も進められています。

◇◇河川でも進められる改修

(肱川緊急治水対策河川事務所・松本 芳士事務所長)
「平成30年7月豪雨で浸水があったが、その洪水が来た場合でも、堤防からあふれないという状況まで、事業は完成できる見込み」

大洲市中心部の周辺で進められる堤防の工事。
以前と比べて、およそ3メートルかさ上げされます。

(肱川緊急治水対策河川事務所・松本 芳士事務所長)
「令和4年5月現在で約4割の堤防が完成している」

国と県は、2023年度中の完成を目指しています。

(肱川緊急治水対策河川事務所・松本 芳士事務所長)
「ハード面での対策は随分進んでいると思う。避難で守れるのは命だけで、資産は守れないので」

その一方で、土木工事の「限界」についても指摘します。

(肱川緊急治水対策河川事務所・松本 芳士事務所長)
「平成30年7月豪雨以上の洪水が発生するという可能性もあるので、できるだけ早めに避難することも大切かと思う」

あの日から4年。

(野村ダムの近くに住む男性)
「放流までするのか、こんなに雨が降っているのに、大雨」

野村ダムの下流で、緊急放流を目の当たりにした男性は、思いを語ります。

(野村ダムの近くに住む男性)
「国交省も神経使って仕事している。それは分かるが、西日本豪雨のときのあれは、ちょっと、過ぎたことだったと思う」

(野村ダムの近くに住む女性)
「(もう100年近くこの土地で川を見てこられて)そうです、まだ生きてます。いつ死んでも構わない歳にはなったが。いつお迎えに来ても構わない歳にはなったが。ははは」

肱川と共に時を重ねてきた95歳の女性は、振り返ります。

◇◇4年前はどういうわけか…

(野村ダムの近くに住む女性)
「ダムができてからは、橋が流れたりすることはない。…4年前はどういう訳か知らんが、ああいうことがあった」

多くの犠牲を教訓に、ダムのあり方は大きく見直されました。
国は、現状で考えられるあらゆる対策を講じていると説明しています。

(野村ダムの近くに住む女性)
「わからん。話しも聞かんし。年寄りには話もしてくれんし、わからん」

◇◇今のダムなら「信用できる」

(野村ダムの近くに住む男性)
「(今のダムであれば信頼できる?)信頼できる。(事前放流などの)訓練をしているし」

照り付ける 太陽の下で、物静かな表情を見せる肱川。
その隣では、土ぼこりをたて、工事が続いています。
(2022年7月7日放送)